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WiMAXは4G携帯の本命か?間近に迫るモバイルブロードバンド時代(1/5 ページ)

Mobile WiMAXに対する注目が高まっている。例えば、Sprint Nextel社は、Intel社、Samsung Electronics社、Motorola社と提携し、米国内のモバイルブロードバンドの展開において同技術の利用を推進していくとの方針を打ち出している。このMobile WiMAXが4G携帯電話の実体となるのだろうか。

» 2007年07月01日 00時00分 公開
[Maury Wright,EDN]

 ノート型パソコンのユーザーも、高性能化が進むスマートホンやPDAを持ち歩くユーザーも、ワイヤレスのデータ通信サービスを必要としている。しかし、比較的短距離のワイヤレスLANやWi-Fi(wireless fidelity)ネットワークと、携帯電話事業者が展開するワイヤレスWAN(wide area network)には明らかな違いがある。携帯電話網によるネットワーク(以下、携帯ネットワーク)は、Wi-Fiほどの帯域幅を提供することはできない。逆にWi-Fiでは、携帯ネットワークほど広いエリアをカバーできない。Mobile WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)技術は、IEEE 802.16e規格に準拠し、少なくとも技術面からは両者の弱みを補完することができる(別掲記事『Mobile WiMAXとWiMAX Forum』および『固定か、モバイルか』を参照)。しかし、WiMAX(以下、Mobile WiMAXとIEEE 802.16-2004の固定WiMAXを包含する意味で、単にWiMAXという語を用いる)に北米全域、さらには全世界を網羅する能力があるかどうかは定かではない。また、ワイヤレス通信の分野において、4G(第4世代。以下、各世代をこのように表記する)の携帯ネットワークへの移行とその際のWiMAXの役割に関して、チップベンダーから携帯電話事業者に至るまでのあらゆる立場の人々が、異なる見解を持っている。

 一般的に、WiMAXでは短距離から携帯ネットワークに近い長距離までを通信可能エリアとすることができる。おそらくデータ転送速度は10メガビット/秒以上、最低でも1メガビット/秒でモバイルユーザー向けにサービスを提供することが可能である。今日、有線のネットワークが普及していない開発途上の地域で、WiMAXまたはWiMAXに似たネットワークが利用されている。その他の地域では、WiMAXがケーブルやDSL(digital subscriber line:デジタル加入者線)と競合関係にある。例えば、米Clearwire社は米国内でWiMAX相当のネットワークを積極的に構築している。携帯電話の先駆者であるCraig McCaw氏が創設した同社は、米国の30地域以上の都市で20万人以上の加入者を抱えている。加入者に対して、ケーブルやDSLと同等の価格で、下りの通信速度が1.5メガビット/秒のサービスを提供している。

 一方、米Sprint Nextel社は、米国全域で早急にWiMAXによるサービスを展開しようと計画している。Sprint Nextel社によれば、同社がライセンスを持っている2.5GHzの周波数帯で、米国の大都市100地域における全世帯数の85%をカバーすることができるという。同社は、2008年末までに1億人のユーザーをカバーできる通信速度2メガビット/秒〜4メガビット/秒のネットワークを展開する予定である。米国では、迅速なネットワーク構築が可能なだけの広範囲の周波数帯を所有するのはSprint Nextel社のみだ。

WiMAXが4Gなのか

 Sprint Nextel社の計画案によって、3G携帯ネットワークの後継となる4G携帯ネットワークで、WiMAXが主要な技術の候補になったかどうかははなはだ疑問である。Sprint Nextel社、米Intel社、韓国Samsung Electronics社、米Motorola社は、その提携内容や事業計画に関するプレスリリースの中に「4G」という用語を使っている。しかし、各社の幹部らはその言葉を使用することを避けている。Sprint Nextel社のモバイルブロードバンド業務担当シニアバイスプレジデントを務めるAtish Gude氏は、「4Gを最初に定義する人物にはなりたくない」と語る。また、Intel社のWiMAX Solutions担当ゼネラルマネジャであるJoe Nardone氏も、「WiMAXを4Gと定義することには抵抗がある」と述べている。WiMAXに多大な投資をしているIntel社であれば、4Gという言葉を喜んで使い、ほかの4G候補技術に対しWiMAXがリードしていることを歓迎してもよさそうに思える。しかし4Gという用語を使うには、政治的、戦略的、そして技術的な問題が伴うのである。

 かつての2G/2.5G/3G携帯ネットワークがそうであったように、4Gという言葉は、前世代のサービスからの進化を意味する。しかし、3G携帯電話機はまだ前世代の携帯ネットワークにも対応し続けている。北米では3G接続に対応していない地域が現在でも多い。また、主要な3G携帯ネットワークは、CDMA(code division multiple access:符号分割多重接続)またはGSM(global system for mobile communications)を利用して発展している。いずれも2Gの周波数帯を使用し、それぞれの変調方式を進化させながら使っているというのが現状だ。WiMAXではそれらとはまったく異なる帯域を使用し、変調方式としてはOFDM(orthogonal frequency division multiplexing:直交周波数分割多重)技術を用いる。

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