ここからは乙女とムサシのやりとりを基に、マイクロフォーサーズで実現する以下の4項目について解説します。
オートフォーカスのスピードが向上!
小型化に貢献した要素として“ミラーレス”というのは欠かせないな。ピント合わせの時間も格段に速くなったしね。
従来のデジタル一眼レフはレンズと撮像素子の間にミラーを装備し、撮影時にミラーを跳ね上げて写真を撮ります。マイクロフォーサーズでは、ミラーをなくした分、小型・軽量化に加え、オートフォーカスの駆動時間も短縮しています。
ピピッ、ピピッ――オートフォーカス、速いっ! たーのしーい! ムサシくんの顔も一瞬でピント合うよ! ん? でも確かデジタル一眼レフのピントは、ミラーで反射した光で合わせてるって聞いたことがある……。そのミラーがないなんて、マイクロフォーサーズではピント合わせはどうやってやるの?
ほう、乙女ちゃんにしてはなかなか質問がハイレベルになってきたね。それは「コントラスト検出方式」っていう、別のやり方を使ってるんだよ。
マイクロフォーサーズのオートフォーカスは、コンパクトカメラで広く用いられているコントラスト検出方式を採用しています。この方式は、デジタル一眼レフに採用されてきた位相差検出方式(デジタル一眼レフのオートフォーカス)に比べると処理時間が遅いというデメリットがありましたが、マイクロフォーサーズではマウントの接点数を増やしたことで、その問題を解決しました。コンパクトデジカメのオートフォーカスと比べても格段に速いといわれています。
デザインの自由度が上がる!
現在販売されているマイクロフォーサーズ準拠の製品は、乙女ちゃんが買った「LUMIX DMC-G1(パナソニック)」1機種だけなんだけど(2009年1月時点)、オリンパスも昨年ドイツで開催されたカメラの世界的展示会「photokina2008」でデザインモックアップを公開したんだ。パナソニックがDMC-G1で従来のデジタル一眼のボディ形状を踏襲しながらどれだけ小型化できるかを示したのに対し、オリンパスはポケットに入るサイズのスリムなデジタル一眼を提案して、ボディデザインの自由度を示してくれたね。
本当だ! 同じデジタル一眼なのに、全然デザインが違う!
動画撮影を意識してビデオカメラのように縦型スタイルにしたデジタル一眼……なんてのも今後出てくるかもね。
マイクロフォーサーズでは、ミラーをなくしたことでメカニカルな駆動部が減りました。その結果、ボディのデザインも従来の形とは異なるものができるようになり、静音化、耐久性向上などのメリットがあります。
これからは一眼レフも動画対応
そういえばさっき「動画撮影を……」っていってたけど、デジタル一眼で撮る動画って、本当にきれいに撮れるの? なんかすっごい汚かったりするんじゃない? もともと撮像素子もレンズも動画用じゃないし。
それが実はね、ビデオカメラよりもデジタル一眼の方が撮像素子もレンズも大きいからきれいな画像が撮れるんだよ。もちろんレンズ交換もできるから、超望遠や魚眼レンズなどを使った動画を撮っても面白そうだよね。
魚眼レンズで動画か……。あ! 昔、はやった鼻が大きく映った犬とか撮りたい!
それは、静止画でもいいんじゃないか……。
ビデオカメラに比べて撮像素子が大きいデジタル一眼カメラは、被写界深度を駆使して背景をきれいにぼかした動画を撮ったり、レンズ交換式のメリットを生かして広角レンズを使ったワイドな視野の動画など、これまでのビデオムービーとは一味違う動画も撮影できます。 ただし、デジタル一眼ならではの高画質を動画でも実現するためには、動いている被写体にピントをしっかり合わせる、より高速で高精度なフォーカス機能が要求されます。
フォーサーズとの相関性
マイクロフォーサーズがなんかちょっとすごいことは分かってきたかも。でも、いままでフォーサーズを使ってた人がかわいそうじゃない? 新しい規格が出ちゃったら古いの使えなくなりそう……。
いやいや、フォーサーズ用レンズを付けるためのマウントアダプターがあるから大丈夫。それを使えば、マイクロフォーサーズ機にフォーサーズ用のレンズを付けられるよ。マウントの信号接点もきちんと対応してるから、オートフォーカスもコントラスト検出方式対応レンズなら効くしね。
そうなんだ。なら、安心だね!
人の心配するより、自分のレンズの心配したら? まだ1本しか持ってないじゃん。
はい……。
マイクロフォーサーズでは、フォーサーズのレンズ資産を活用できます。なお、フォーサーズ準拠の製品は引き続き開発されます。 また、マイクロフォーサーズは、フォーサーズと同様にオープンな規格なので、新規にデジタル一眼カメラの開発を始めるメーカーの出現も期待できます。
マイクロフォーサーズの心配事項
レンズ交換をするときに、すぐ近くに撮像素子が見えるでしょ。キラキラしてきれいだから、ついつい触りたくなるんだよねぇ……。ゴミとかくっついたりした時も、指で簡単に取れるから便利かも!
乙女ちゃん……冗談は大概にしましょうね。それとも本気? もし、ゴミが付いた場合でも、ダストリダクションシステムというゴミやホコリを取り除く機能があるから大丈夫。そもそも、撮像素子を指で触るというのは論外だからね。取扱説明書にも手を触れないでくださいって書いてあると思うし、壊れても保証効かないよ。
そ、それは困る……。
センサーには、直接ゴミが付着しないようにフィルターが取り付けられています。ダストリダクションシステムでは、超音波モーターによる振動で、フィルターに付着したゴミを強制的に弾き飛ばします。ですので、よほど湿ったゴミや、粘着性のあるものが付かない限り、ゴミやホコリはほぼ除去できます。
最近は主婦でもデジタル一眼レフを持っている人が増えているからね。走り回る子供を撮るときなんか、ピント合わせが速くて、小型・軽量なマイクロフォーサーズは、その真価を発揮しそうだね。
これまでデジタル一眼に難しさを感じて手を出しづらかった人も、コンパクトデジカメと同じように液晶ファインダーで手軽に使えるしね。
乙女ちゃんが買ったG1も捨て難いけど、これから登場するマイクロフォーサーズ準拠のカメラも発売が待ち遠しいよ。
えー! ずるい、私も次の欲しいなー! いま持っているやつは静止画用として、後は動画撮影専用と、旅行に持って行く用に小型でカワイイのと、なんか飾って置いておく観賞用と……どんどん買っちゃおうかな!
ちゃんと使いこなせるならね……。
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