アナログフロントエンド回路とベースバンド処理回路を1個のチップに統合した。物理層で240Mビット/秒の伝送速度を確保しながらも、「IEEE 1901に準拠するICとしては業界で最も低消費電力だ」と主張する。
川崎マイクロエレクトロニクスは2012年2月、電力線通信(PLC)の標準規格の1つである「HD-PLC(IEEE 1901)」に準拠し、高いデータ伝送速度と低い消費電力を特徴とする電力線通信IC「KHN13200」を発表した。同社が従来、アナログフロントエンドICとベースバンド処理ICのチップセット構成で提供していた機能を1個のチップに統合した製品である。「物理層で240Mビット/秒の伝送速度を確保しながらも、IEEE 1901に準拠するICとしては業界で最も低消費電力だ」(同社)と主張する。2012年3月にサンプル出荷を開始し、同年5月に量産出荷を始める予定だ。
電力線を介してやりとりするデータを、イーサネットのプロトコルに変換して出力する機能を備えた通信用ICである。すなわち、PLCとイーサネットのブリッジICとして利用可能だ。用途としては、ホームネットワーク市場に向けたインターネット接続テレビ用のセットトップボックスや、ホームゲートウェイ装置、イーサネットとのブリッジ機能を提供するアダプタ、スマートグリッド市場に向けた電力メーターやデータ集約機器(コンセントレーター)などを想定する。
消費電力は、動作時が0.4W、節電モード時が0.07Wに抑えた。既存のチップセットで消費電力が特に大きかったアナログフロントエンド部の回路を見直すことで、データ伝送速度を維持したまま消費電力を引き下げたという。同社既存品はチップセット全体で動作時に0.96Wを消費していた。実効的なデータ転送速度は、通信環境によって異なるが、TCP利用時に60Mビット/秒程度、UDP利用時に90Mビット/秒程度だとしている。
パッケージは16×16mmの放熱パッド付き144端子TQFP。動作温度範囲は−40〜85℃。1000個購入時の単価は2500円である。
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