アジレント・テクノロジーの「MXG-Bシリーズ」は、位相雑音や出力電力、変調帯域幅、ACPR、EVMなど、高周波信号発生器としての基本特性を高めた6GHz出力の新機種だ。航空/宇宙/防衛向けのレーダーや、次世代Wi-Fiをはじめとする無線機能を備えた消費者向け機器の研究開発に使える。製造ライン向けにスループットを高めた「EXG-Bシリーズ」も用意した。
アジレント・テクノロジーは2012年5月、6GHz出力の高周波(RF)標準信号発生器の新機種群を発表した。RF信号発生器としての基本特性を大幅に向上させており、位相雑音特性と出力電力、隣接チャネル漏えい電力比(ACPR)特性、変調精度(EVM)、変調帯域幅において、いずれも「業界最高性能を実現した」(同社)と主張する。研究開発などに使える「Agilent MXG-Bシリーズ」と、製造ラインでのテスト用途に向けてスループットを高めた「Agilent EXG-Bシリーズ」の2シリーズを用意しており、それぞれにアナログ変調出力とデジタル変調(ベクトル変調)出力の2機種を取りそろえた。
同社はこの新機種の開発背景について次のように説明する。「今日の航空/宇宙/防衛関連機器では、長距離を伝送した微弱な信号でも検出できるように、一段上のレーダー性能が求められている。そうした機器の試験では、正確で高純度の信号を発生できる標準信号発生器が必要だ」(同社)。さらに、Wi-Fiをはじめとする無線通信技術を組み込む消費者向け機器では、取り扱うデータの容量が増大していることから、「無線機器そのものもネットワークインフラも、高性能化が求められている」(同社)としており、それらのテストに向けてより広帯域の変調信号を出力できる標準信号発生器が求められると判断した。
具体的な性能は、例えばMXG-Bシリーズでは以下の通りである。位相雑音については、1GHz出力時に20kHzオフセットにおいて−146dBc/Hzに抑えている。スプリアス特性については、1GHz時に−96dBcを確保した。「レーダー向けのミキサーやA-D変換器などの部品の開発に最適だ」(同社)。変調帯域幅は160MHzと広く、帯域内の平坦性も±0.2dBを確保した。「この帯域幅と平坦性を実現している標準信号発生器は、他に無い」(同社)としており、次世代無線LAN規格IEEE 802.11acなどを採用した高速データストリーミングの開発を支援できるという。この他、出力電力は最大+27dBm、ACPRは最大−73dBc(W-CDMAテストモデル1、64 DPCHの場合)を実現した。
なお同社は、これらの新機種群を2012年6月19〜20日にパシフィコ横浜で開催する電子計測部門のプライベートショー「Agilent Measurement Forum(アジレント・メジャメント・フォーラム) 2012」で展示する。
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