今日、スイッチモード電源は、通常、数10n秒から数100n秒までの最小オン時間を備えています。これは、ゲートチャージ時間、ブランキング時間、その他から成ります。
通常の自動車の環境では、バッテリー電圧は12〜14Vですが、ロード・ダンプ時には、容易に2倍になるでしょう。出力電圧は、アプリケーションや要求仕様によって定義され、多くは1.2〜5Vの範囲にわたります。
図4は、先にも挙げた降圧型DC-DCコンバータ制御IC(TPS43340-Q1)の出力電圧(AC/CH1:黄色の波形)、これに対応するスイッチ・ノード電圧(CH2:赤色の波形)を示します。CH4(緑色の波形)は、インダクタ電流です。
40Vが供給され、最大のスイッチング周波数に設定され、それは600KHzで500mAの負荷電流を駆動しています。測定は、同IC標準の評価モジュール(TPS43340EVM)で得たものですが、出力電圧は1.2Vの場合です*)。
*)600KHzのスイッチング周波数および最小オン時間約100n秒で、SMPSデバイスは高い出力電圧時には、パルススキッピングには遷移しません。
1つのパルスがスキップされる前に、Phase-Nodeには大抵、2つか、3つの連続パルスが現れます。
出力電圧はやや頻繁なパルスのため、ほとんど変化しません。しかし、負荷条件が違えば、変動は増加するでしょう。
40Vは通常の使用事例でありませんが、より高いスイッチング周波数あるいは十分低い出力電圧をサポートできるような製品を使うと、公称条件においてパルススキップが懸念される場合があります。
例えば、降圧レギュレータで2.5MHzのスイッチング周波数をサポートするデバイス(TPS65320-Q1)があります。もしそれを使って、14Vの入力電圧からの1.2Vを生成するならば、最小オン時間が100n秒(代表値)で、パルススキッピングを避けるための最大周波数は、2.4MHz程度にならなければなりません。最小オン時間の上限や入力電圧の上限(例えば、ロード・ダンプ時)のマージンを考慮しなくてはならず、それはさらに下げられなければなりません。
通常状態で、バーストモードを避ける最大許容スイッチング周波数は、以下の通りに計算されます。
実際の設計では、損失を考慮して、条件はより緩めであるが、さらにスイッチング周波数の低減は必要になります。加えて、マージンと潜在的に高い入力電圧を計算に入れてください。
しかし、場合によっては、3.3V出力は、直接バッテリーから駆動される必要はなく、例えば、電源として使うことができる5V出力があるので、デューティーサイクルは66%で、オン時間が2倍以上になるようにして、それ以外は同じ条件で作り出すことができます。いくつかの複数の電源を持つ製品、例えば前述のデバイス(TPS43340-Q1)のような製品は、電源のカスケード接続ができ、例えば5Vを生成するのにBUCK1が使われ、3.3V系を駆動したり、1.2Vの出力を生成するBUCK2を駆動したりするためにこの5V電源を使います。
ここでは、40Vの電源があり、5V出力電源を作り出すとします。この比率だと600KHzでもパルススキッピングは起きないでしょう。この5V出力は、2段目のステップ・ダウン・レギュレータの供給電源に使われ、1.2Vを生成します。図5、図6を参照してください。
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