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パルススキッピングモードの長所/短所とその回避法自動車用スイッチング電源設計(5/5 ページ)

» 2014年03月03日 10時00分 公開
[Frank Dehmelt,Application Engineer, Mixed Signal Automotive at Texas Instruments]
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まとめ:パルススキッピング導入の利点と問題点の回避方法

低電力モード

 ほとんどのデバイスは、低電力モードの有効/無効を選択するモードを持っています。ただ、連続モードで強制的に動作するならば、スイッチング損失は増えます。しかし、固定周波数で動作し、パルススキップで生じるリップル電圧の拡大は避けられます。なお、外部クロックにより駆動されているデバイスでは、低電力モードは存在せず、強制的に連続モードで動作します。

 また、出力負荷はシステムに依存します。しきい値は、理論的な電流検知あるいは高精度のものに違いなく、例に挙げたTPS43340-Q1のように、サイクルあたりにあらかじめ決められた期間(ここでは60%)に、ゼロ・インダクタ・カレントを検出しています。低電力モードでは、出力リップルは極端に増加しません(あるいは適切な出力容量で和らげられています)。ですので、特に対応を必要としないでしょう。

ドロップアウトモード

 ドロップアウトモードにおいては、スイッチング周波数が変わること以上に、出力電圧が低下してしまうことが大きな問題点としてあります。出力電圧の低下に対しては、多くの製品は、スイッチング周波数の設定のためにあらかじめ定義されたバイナリ・コードを提供していますので、簡単なフィルタリングで対応することができます。

最小オン時間という物理的制約への対応

 以下が、最小オン時間という物理的制約でパルススキッピングモードに入ってしまうパラメータの概要とそれを防ぐための可能性です。

  • 出力電圧:アプリケーションに必要な電力は、システムで定義されている。通常変えることはできません。
  • 入力電圧:バッテリー電圧で定義されます。場合によって、より低い電源が、低電圧出力のための電源として使われます。
  • スイッチング周波数:潜在的に、スイッチング周波数の低減は、例えば2.5MHzから1.8MHzなどは、最少オン時間のバイオレーションを防ぎ、さらにAMバンドを避けられるかもしれません。
  • 出力負荷:アプリケーションに必要な出力負荷は、システムで定義されている。リップル電圧は許容範囲内にあること。インダクタは過渡電流を扱えること。
  • デバイスの選択:電流モード・コンバータは、少し長い最少オン時間になる傾向にあるが、補償はとても簡単です。注意深く設計を行えば、電圧モードの降圧は、適当な選択肢になります。

結論

 低電力モードは、全く問題がなく使えるケースが多い上、問題がある場合には無効にできるため、問題の解決は容易です。ドロップアウトモードは、出力電圧の低下し、不十分な供給電力に一時的に陥りますが、仕様の範囲なら維持できます。限界はありますが、低電圧誤動作防止機能(UVLO)を動作させてしまうよりは良いでしょう。

 パルススキッピングの一番の原因は、リップル出力電圧と周波数の変動です。周波数変動が設計者にエミッション試験の不具合をもたらせる、あるいは、通常動作時にAMバンドに可聴ノイズとして結び付けるならば、まとめの項で示した選択肢の1つまたはいくつかを組み合わせ適用することによって、設計者は周波数変動を防がなくてはならないでしょう。

 もし、パルススキッピングがロード・ダンプのような“極端な状況下”だけで起こるのであれば、それは可聴できないでしょう。エミッション試験は、通常の公称電圧で実施されるので、周波数の変動やその周波数の副次効果(サイド・エフェクト)は、認められないでしょう。もし、出力段のリップル電圧が、非常に高いレベル(オフ・リミット)にあるならば、バッテリーから直接に電源を供給する代わりに、システムは、例えば、非常に低い出力電圧の場合、中間の電源を要求するかもしれません。

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