ほとんどのデバイスは、低電力モードの有効/無効を選択するモードを持っています。ただ、連続モードで強制的に動作するならば、スイッチング損失は増えます。しかし、固定周波数で動作し、パルススキップで生じるリップル電圧の拡大は避けられます。なお、外部クロックにより駆動されているデバイスでは、低電力モードは存在せず、強制的に連続モードで動作します。
また、出力負荷はシステムに依存します。しきい値は、理論的な電流検知あるいは高精度のものに違いなく、例に挙げたTPS43340-Q1のように、サイクルあたりにあらかじめ決められた期間(ここでは60%)に、ゼロ・インダクタ・カレントを検出しています。低電力モードでは、出力リップルは極端に増加しません(あるいは適切な出力容量で和らげられています)。ですので、特に対応を必要としないでしょう。
ドロップアウトモードにおいては、スイッチング周波数が変わること以上に、出力電圧が低下してしまうことが大きな問題点としてあります。出力電圧の低下に対しては、多くの製品は、スイッチング周波数の設定のためにあらかじめ定義されたバイナリ・コードを提供していますので、簡単なフィルタリングで対応することができます。
以下が、最小オン時間という物理的制約でパルススキッピングモードに入ってしまうパラメータの概要とそれを防ぐための可能性です。
低電力モードは、全く問題がなく使えるケースが多い上、問題がある場合には無効にできるため、問題の解決は容易です。ドロップアウトモードは、出力電圧の低下し、不十分な供給電力に一時的に陥りますが、仕様の範囲なら維持できます。限界はありますが、低電圧誤動作防止機能(UVLO)を動作させてしまうよりは良いでしょう。
パルススキッピングの一番の原因は、リップル出力電圧と周波数の変動です。周波数変動が設計者にエミッション試験の不具合をもたらせる、あるいは、通常動作時にAMバンドに可聴ノイズとして結び付けるならば、まとめの項で示した選択肢の1つまたはいくつかを組み合わせ適用することによって、設計者は周波数変動を防がなくてはならないでしょう。
もし、パルススキッピングがロード・ダンプのような“極端な状況下”だけで起こるのであれば、それは可聴できないでしょう。エミッション試験は、通常の公称電圧で実施されるので、周波数の変動やその周波数の副次効果(サイド・エフェクト)は、認められないでしょう。もし、出力段のリップル電圧が、非常に高いレベル(オフ・リミット)にあるならば、バッテリーから直接に電源を供給する代わりに、システムは、例えば、非常に低い出力電圧の場合、中間の電源を要求するかもしれません。
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