TDKが「EPCOS」ブランドとして発表したDC/DCコンバータモジュールは、実装面積が2.9mm×2.3mm、高さが1mmというサイズを実現している。電池駆動を想定していることから入力電圧範囲は2.2〜5.5V。出力電圧範囲は1.10V〜2.80Vまで8種類をそろえている。
TDKは2014年11月4日、「EPCOS」ブランドとして降圧型DC/DCコンバータモジュール「B30000P80シリーズ」を発表した。小型基板に6MHzの電源スイッチICを埋め込み、インダクタ、2個のコンデンサとともに一体型電源モジュールとした。ICを基板の中に埋め込む技術を用いたことで、実装面積は2.9mm×2.3mm、高さは1mmというサイズを実現している。個別部品で構成する場合に比べて、実装面積を最大35%削減したという。サンプル出荷は既に開始していて、量産は11月より開始する。サンプル価格は1個200円(税別)。月産で数千個を目指す。
スマートフォンやスマートウオッチといったウェアラブル機器に搭載される通信モジュールやセンサーモジュール、カメラ、光モジュール、メモリカードを駆動するための電源の用途を想定している。そのため、電池で駆動することを前提としており、入力電圧範囲は2.2〜5.5V。出力電圧範囲は、1.10V〜2.80Vまで8種類を用意している。最大出力電流は600mA。TDKは、「スマートフォンなどに搭載する機能を増やした際に必要になる、“追加用の電源”というイメージ」と説明している。
出力電圧についても、「ウェアラブル機器に搭載されている部品に必要な出力電圧を調べていったところ、今回用意した8種類を用意しておけば、ほとんどの用途に対応できる」(TDK)という。「スマートフォンなどの追加用電源として用途をある程度絞り、とにかく安く提供することを目的として開発した」(TDK)。
そのためには効率も重要になる。B30000P80シリーズの効率は92%。インダクタやコンデンサを小型にすれば、今回発表したDC/DCコンバータモジュールのさらなる小型化を図ることは可能だ。ただし、そうなると効率が低下する。サイズと効率の最適なバランスを図った結果が、2.9mm×2.3mm×1mmというサイズである。1mmの高さを実現しているのは現時点では「TDKのみ」(同社)だという。
今後のウェアラブル機器の方向性の1つに、環境発電(エナジーハーベスティング)がある。環境発電で得た電力によってセンサーを駆動し、データをスマートフォンやハブなどに送信するというものだ。TDKは、「このような用途を視野に入れれば、今後は、B30000P80シリーズのような一体型DC/DCコンバータモジュールとして、昇圧型の開発も必要になってくるかもしれない」と述べている。
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