富士ソフトは、カメラ2台の入力画像から対象物までの距離を計測するための処理を1チップで実現するためのIPコア製品「StereoVision IP Suite」と、その評価キットを発売した。このIPはアルテラ製FPGA「Cyclone V SoC」に対応した製品である。
富士ソフトは2015年2月、カメラ2台の入力画像から対象物までの距離を計測するための処理を1チップで実現するためのIPコア製品「StereoVision IP Suite」と、その評価キットを発売した。このIPはアルテラ製FPGA「Cyclone V SoC」に対応した製品で、車載システムやロボット機器などの用途に向ける
StereoVision IP Suiteは、車載ステレオカメラ研究の第1人者で、東京工業大学の准教授を務める實吉敬二氏が開発したアルゴリズムをベースに、富士ソフトとアルテラが共同で開発/製品化した。StereoVisionは、2台のカメラ画像の視差を利用して対象物の距離を計測するシステムで、自動車の衝突回避システムなどに導入されている仕組みと同様な機能を実現することができる。
StereoVision IP Suiteが実装されたCyclone V SoCを用いると、2台のカメラから入力された画像をハードウェアで並列処理するため、物体検知や物体までの距離計測を、より高速に実行することが可能となる。Cyclone V SoCのプログラマブルロジック領域には、入力された画像を補正/校正する機能ブロックやステレオマッチング処理を行う機能ブロック、物体を検知する機能ブロックなどがハードウェアで実装されている。また、物体を追跡するための処理は、Cyclone V SoCに内蔵されているARM Cortex-A9 MPCoreで実行される。
富士ソフトは、StereoVision IP Suiteの応用を容易にするためのステレオビジョン評価キット「StereoVision Evaluation Kit」も用意した。この評価キットは、StereoVision IP Suiteが実装されたCyclone V SoC搭載評価ボードとカメラモジュール、および実装用のソフトウェアをセットにした製品である。
なお、實吉氏は2015年2月17日から3月16日までの会期で開催しているバーチャル展示会「ITmedia Virtual EXPO 2015 春」で、「『衝突しない自動車』のためのステレオカメラ開発秘話」と題して、StereoVision IP Suiteのベースにもなったステレオカメラアルゴリズムの開発秘話などを講演している。
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