TDKは、蓄電池の充電や水の電気分解に適する定電流電源「EVSシリーズ」を開発したと発表した。基板型ファンレスタイプの300Wモデル、ユニット型の600Wをラインアップしている。
TDKは2015年9月、簡易定電流定電圧AC-DC電源「EVSシリーズ」を開発したと発表した。基板型ファンレスタイプの300Wモデル、ユニット型の600Wに加えて、専用の逆流防止モジュール「EVS-RP」をラインアップ。蓄電池の充電や水の電気分解などの定電流制御が必要なアプリケーションに適している。2015年9月より受注を始め、2015年10月より量産出荷を開始するという。
EVSシリーズは、従来モデル「HWS-L/BATシリーズ」と同様に定電流値を任意に調整することが可能である。600Wモデルはトリマ抵抗で調整可能。300Wモデルは10段階のロータリースイッチで、無通電時に調整可能となっている。出力電圧の上限値も同様に調整することが可能だ。
従来のHWS-L/BATシリーズはフルファンクションモデルとなっており、リモートセンシングや予備電源といった機能がついていた。最大出力電力に関しても、600W以上の製品のみだった。
しかし、今回のEVSシリーズはシンプルファンクションモデルとなっており、300Wモデルの製品を導入した。同社は、「EVSシリーズは余計な機能は付けず、コストパフォーマンスを重視した製品となっている。特に、『電池の容量によっては、出力電力が小さくてよいからもっと安価な製品が欲しい』といった声があったことから300Wモデルの開発に至った」と語る。また、300Wモデルは、ファンによる騒音やゴミの排出を気にする顧客が多いことからファンレスも実現している。
EVSシリーズの出力電圧は、12V/24V/48V系の各蓄電池に合わせた18V/36V/57Vタイプ*)がある。並列運転による大容量蓄電池の充電にも対応する。
*)12V系蓄電池に対応する18V出力タイプは300Wモデルのみである。
価格は、オプションによって変わるが、リモートON/OFFコントロール機能付きで、300Wモデルが1万6600円、600Wモデルが2万8300円(いずれも本体価格)である。
TDKは今回、EVSシリーズ専用の逆流防止モジュール「EVS-RP」も開発している。蓄電池充電には電源OFFのときに、蓄電池からの電流の流れこみを防止する逆流防止回路が必要だ。従来はダイオードを用いていたが、順方向電圧によって電力が消費され、発熱の原因となっていた。EVS-RPは、MOSFETを使用した低損失の逆流防止モジュール。ダイオードと比較して、損失と出力電圧降下を72%低減できるという。これにより、発熱も抑えられる。
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