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スルーレート制御で電源のEMIを減らすDesign Ideas パワー関連と電源(2/2 ページ)

» 2015年10月13日 11時30分 公開
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出力電圧雑音に高調波成分が含まれない

 交流(AC)ラインにおける伝導性EMI雑音を計測すれば、この回路の利点を理解できるだろう。IC1を一般的なスイッチング電源用制御ICに置き換えた場合と比較してほしい。この2つの回路の差は、スイッチング電流と電圧のスルーレートを能動的に制御しているかどうかという点だけだ。

 図2は、2つの回路の周波数スペクトラムである。IC1を用いた回路のスペクトラムは、FCCクラスBの規制値を十分に満足している。しかし一般的なスイッチング電源用制御ICを採用した回路では、規制値を大幅に超えてしまった。

図2:EMIの測定結果 (クリックで拡大)
(a)は今回の回路、(b)は一般的なスイッチング電源用制御ICを使った従来回路のEMIを測定した結果である。いずれも横軸に、FCCクラスBの規制値を示した。(a)は規制値を十分に満足しているが、(b)は大幅に超えてしまった。

 図1の回路には、もう1つメリットがある。出力電圧雑音は基本波のリップルだけで、高調波成分が含まれないことだ。リップル電圧を300μV以下に抑えたいなら、出力にLCフィルター(100μHと100μF)を追加するとよい。

 一般的なスイッチング電源用制御ICを使った回路では、出力フィルターを構成するインダクターの寄生容量を介して、高周波雑音がほとんど減衰されずに通過してしまう。このため出力電圧には、多くの雑音が重畳される。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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