マイコンは電気製品ですので、電源は必須です。これはマイコンに内蔵できませんので、ユーザーが準備する必要があります。最も簡単な電源は電池です。商用電源が使えるならば、100Vから作ることもできます。マイコンの電源については「Q&Aで学ぶマイコン講座(15):マイコン周辺部品の選び方――電源編」を参考にしてください。
マイコンの動作をスタートさせるには、最初にマイコンの内部状態を初期化する必要があります。そのために「リセット回路」が必要です。最近のマイコンの多くにはPOR(Power ON Reset)と呼ばれる回路が内蔵されていますので、それを使うと外付けの回路は必要ありません。PORを内蔵しているマイコンは、「リセット回路」を付けなくても、正常にスタートします。
しかし、押しボタンスイッチでリセットスタートさせたい場合や、他の外部回路からマイコンをリセットしたい場合は外付け回路が必要になります。STM32F103はPORを内蔵していますが、図1の場合は、押しボタンスイッチを付けてユーザーがリセットできるようにしています。スイッチに並列に付いているコンデンサーは、チャタリング*1)防止と、リセット時間調整用です。
*1)Q&Aで学ぶマイコン講座(24):チャタリングの原因と対策
リセット端子の内部構造はマイコンによって異なります。外付けするリセット回路は、リセット端子の内部構造を考慮して設計しなくてはなりません。最近のマイコンではリセット端子に出力機能が付いていて、マイコンの内部リセットがかかった場合に、リセット信号を出力する場合もあります。
もしリセットICなどがつながっている場合は、信号の衝突が発生し電流が流れる場合がありますので、マイコンのマニュアルを確認して設計してください。
図2にSTM32F103のリセット推奨回路例を示します。
マイコンの内部はクロックに同期して動作しますので「クロック回路」は必須です。最近のマイコンの多くには内蔵抵抗と内蔵コンデンサーを使ったリングオシレーターと呼ばれる発振回路(クロック生成回路)が内蔵されています。内蔵発振回路で作られたクロックを使えば、外付けクロック回路は必要ありません。ただし、内蔵発振回路の周波数誤差は大きいため、タイマー*2)や通信機能*3)を使う場合に、正常に動作しない場合があります。そのため、周波数精度の高い水晶振動子やセラミック振動子を使った発振回路*4)を外付けしなければならない場合があります。
*2)マイコン入門!! 必携用語集(12):「クロック」数えて「パルス」を操る――タイマーの基本機能
*3)Q&Aで学ぶマイコン講座(7):外部発振子なしで、UART通信は可能ですか?
*4)Q&Aで学ぶマイコン講座(2):水晶やセラミック発振子を使った発振回路の設計方法は?
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