「ゾーントリガー」はオシロスコープに搭載されている機能で、従来搭載されているトリガー機能を補完するだけでなく、これまでにないトリガーを実現することが可能となっている。本稿では、オシロスコープのゾーントリガー機能に関する代表的な5つの質問に対してお答えしよう。
電気回路の不具合に対する問題解決や原因究明に、広く使用される計測器がオシロスコープだ。特定の不具合波形の分離を可能にする、オシロスコープの主要な技術がトリガーになる。オシロスコープには、エッジ、グリッジ、パルス幅、パターンなど、各種イベントの切り分け用にハードウェアトリガー機能が標準搭載されている。
一方で、今まで存在していたハードウェアトリガー機能は、まれに発生する不具合波形を時間で分離するには最適だが、それだけでは十分でない。例えば、オシロスコープの画面上に不具合波形が観測されていたとしても、通常のトリガー機能ではこうした波形を分離するのは非常に困難だ。
ゾーントリガー機能は、こうした今まで存在していたハードウェアトリガー機能を補完するためのものである。この機能は、オシロスコープのユーザーにとって、トリガー設定に関してさらなる柔軟性をもたらしてくれる。以下に紹介する5つの質問は、「ゾーントリガー機能を利用したい」「オシロスコープベンダーが提供するゾーントリガー機能の評価を行いたい」と考えているエンジニアにとって役立つ情報となるだろう。
ゾーントリガー機能を理解することで、それが効果的なケースと、効果的でないケースを区別できるようになるため、最適な使い方を選択可能になる。では、ゾーントリガーはどのようにして動作するのか? 答えは非常にシンプルである。
図1に示すように、1つ以上のゾーンをオシロスコープの画面上に図形として描く。また、各ゾーンには、「波形が横切る」「波形が横切らない」といったパラメータを設定できる。オシロスコープは波形を捕捉するたびに、メモリ内部の捕捉波形を見に行く。
捕捉した波形がゾーンの設定条件を満たさない場合、オシロスコープはデータを無視する。ユーザーが定義したゾーンの条件を満たす波形だけが、画面に表示されるのだ。
通常ゾーントリガーは、エッジトリガーのように以前からハードウェアベーストリガーとして搭載されているトリガーの後段ステージで設定される。これにより、ユーザーは、従来のトリガー機能によりイベントタイプをできるだけ絞込み、その後ゾーントリガーを使用することで、より特異性の高い信号を切り分けることが可能になる。
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