電子部品について深く知ることで、より正しく電子部品を使用し、「分かって使う」を目指す本連載。今回からは「ヒューズ」を取り上げます。第1回は、ヒューズの役割や構造、種類の他、ヒューズに関する安全規格について解説します。
ヒューズは、回路の異常状態(短絡や過負荷など)による過電流によって機器が危険な状態になることを防止する目的で使用されます。
そのヒューズの定格電流値を超える電流がヒューズに流れると、ヒューズが局所的に発熱、溶断して回路を遮断します(図1)。この溶断時に発生するアークが電源電圧を分担するので、回路の印加電圧は一時的に低下し、異常電流の増加が抑制されます。この作用を限流作用といいますが、ブレーカにはこの限流作用はありません。
また、ヒューズは電圧によって高圧用と低圧用に分けることができ、それぞれに電力用と電子機器用があります。ここでは低圧電子機器用ヒューズについて説明します。
(低圧用とは一般家庭用や事務所用のACライン電圧対応品のことです)
ヒューズは図2~図4に示す部品で構成されています。
ヒューズホルダ | 図2参照 | ヒューズリンクを保持する金具部分です。ヒューズベース、クリップ、端子などで構成されます。 |
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ヒューズリンク | 図3参照 | ヒューズエレメントを内包した部品。いわゆるカートリッジ部分です。 |
ヒューズエレメント | 図4参照 | 可溶部(過電流で溶ける部分)のことです。この部分の構造、材質、形状を選ぶことで各種の溶断特性に対応します。*1 |
*1)参考資料:JEITA RCR-4800
図2に示すようにこれら全てを含めてヒューズと呼びます。いわゆる“ヒューズ”とはこのようなシステムを指し、遮断特性によってはヒューズエレメント周囲に消弧剤を含むこともあります。
また、“ヒューズエレメントが溶断する”ことを指して、一般的には“ヒューズが切れる”といいます。
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