溶断時間特性での区分
通電電流値と溶断時間の関係で次のように区分されています。
一般名称として速動溶断形、普通溶断形、タイムラグ溶断形(タイムディレー形)で区分されますが規格上では次のように定義されています。
表2:通電特性例 表2に代表的な溶断特性の例を示します。日本は主としてUL系に分類されますが、UL規格自体はIEC規格と大幅に特性が異なり、同じ定格電流でも溶断特性曲線は著しく異なっていることが分かるかと思います。
従って、UL系のヒューズを使う場合には定格の75%程度にディレーティングしなければならないのに対して、IEC系は定格値自体がマージンをもっていますので90%のディレーティングで使用できるとされています(測定誤差10%)。
また代表的な溶断特性の例を図6に示します。同じ定格電流でも突入電流や遮断時間に合わせて選択する必要があります。
溶断特性以外にも形状で区分される場合があります。主な外観別の区分を表3に示しますのでヒューズ選択時の参考にしてください。
次回はヒューズの使い方や注意点についてお話したいと思います。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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