ヒューズはその目的上、融点の低い金属を使用しています。その金属に流れる電流によってジュール熱(I2・R損)が発生し、金属の温度が上昇することによって溶融して異常電流を遮断します(低融点金属を管理して使用することで溶断特性を管理します)。
ヒューズはこのように温度上昇(異常温度)を検知して動作しますので、ヒューズエレメントの構造(発熱量、熱時定数)によって溶断特性は変わります。
例えば同じ線径であっては、
のような関係があります。また、線径を細くすれば抵抗値が上がるので定格電流は小さくなり、線径を太くすれば定格電流が増加します。
このような関係を考慮しながら、図4に示すように部分的に線径を細くしたり、別材料を付加したり、また長い線長の場合にはスパイラル状に巻き付けたりして、定格電流と溶断特性を合わせ込んでいきます。
このようにヒューズに求められる性能として重要なのは、異常時には確実に切れ、そして正常時には絶対に切れないという相反する特性であり、この特性をどのように実現させるかがヒューズメーカーに与えられた課題といえます。
ヒューズにはその特性を表す用語として次の図のようなものがあります。
【遮断電流(Breaking Current)】
ヒューズが破壊することなく回路を安全にブレーク(切り離す)できる電流です。この電流値を超える場合はヒューズが破壊(破裂)する可能性がありますので1ランク上の遮断能力を有するヒューズに変更する必要があります。
なお、ヒューズの破壊現象はヒューズエレメントが溶けて振りまかれることを意味し、安全規格上は不合格になりますので絶対に避ける必要があります。
これらの電流の関係は図5から分かるように
遮断電流>溶断電流>ヒューズ定格電流>機器定格電流
のようになります。
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