これで分析はほぼ終わりですがゼロが存在していません。仮にゼロが存在する場合、それをどのように把握すればよいでしょうか。この場合、役に立つ対処方法があります。図3の回路を考え、頭の中でコンデンサーC1の両端を短絡します。ここで、短絡したコンデンサーを含む回路に電圧を印加すると想定します。つまり、オシロスコープでVoutの応答を観察できるでしょうか。確かに、rCがR3を短絡し、おそらく振幅は小さくなるでしょうが、入力信号は引き続き伝達され応答が存在します。この設問に対する回答が「はい、C1を短絡しても応答があります」の場合、C1に関連付けられたゼロが存在します。インダクターL1が存在する回路を扱う場合、同じ演習を実施しますが、今度はインダクターを開路として扱います。このモードで応答がある場合、L1に関係するゼロが存在します。
前述した通り、励起信号の伝達を阻止するとゼロが自動的に発生し、この時、出力はゼロになります。今度は変形した回路を検討します。ここでは、図6に示すようにC1を1/sC1で置き換えます。応答がゼロになる特定の条件とは、どのようなものでしょうか。応答がゼロになることは単純にはR3を流れる電流がゼロになることです。抵抗に電流が流れていない場合、その抵抗の両端に電圧は印加されず、Voutは0Vになります。
R3に電流が流れない場合、rCと1/sC1の直列接続により実質上の短絡が形成されます。
この場合の根szが求めようとしているゼロ位置です。
次のように変形できます。
これら全ての結果をまとめると、図3の回路の特性を表す最終的な伝達関数が得られます。
これを「低エントロピー」の式と呼んでいますが、この中でゲイン、1つの極、1つのゼロを簡単に区別できます。一方、「高エントロピー」の式は、例えばインピーダンス分割回路を検討すると、元の回路に対して総当たり法を適用して、次の式を求めることができます。
ただし、このような式を導くときにミスをする可能性があります。実際、筆者はミスをしていました。加えて、式9のように変形するにはかなり手間がかかります。また、式9を記述する際に、最初から1行の代数式で表現したわけではないことに注意してください。後からミスに気付いた場合は、個別の回路図に戻って、個々にミスを修正すれば容易に対処できます。そうすると、式9の修正も簡単になります。ここで、式10でも同じく修正してみますが、おそらく最初からやり直すことになるでしょう。図7に示すように、Mathcadシートで周波数応答をプロットして、式9と式10が同じかどうかをチェックできます。
以上、手短にFACTを紹介したのは、回路が簡単でも複雑でも、この手法がどれほど快適で効率的であるかを示すためです。複雑なアーキテクチャをシンプルな個別回路に分割すると、上記のように素早く伝達関数を導くことができます。これでツールを紹介したので、タイプ2の補償回路に適用してみましょう。
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