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アナログとデジタル帰還システムのループ安定性分析DC-DCコンバーター活用講座(14) 帰還ループ(3)(3/3 ページ)

» 2018年02月19日 11時00分 公開
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デジタル帰還ループ

 下の回路(図5)は、マイクロコントローラーベースDC-DCコンバーターの簡略回路図です。フルブリッジパワー段と出力の同期整流段の両方を含む、全てのタイミングがデジタルで制御されます。

図5:マイクロコントローラーベースのDC-DCコンバーター (クリックで拡大) 出典:RECOM

 マイクロコントローラーはオペアンプ素子を内蔵しています。つまり、センス入力をマイクロコントローラーに直接接続することができます。マイクロコントローラーは入力電圧、出力電圧、出力電流に関する情報を保持しているので、短絡や過負荷状態をモニターする外部回路が不要です。入力電圧のモニタリングにより、制御された状態で起動でき、適応ヒステリシスでの低電圧ロックアウトをプログラムできます。4個目のオペアンプ入力を使用すれば、DC-DCコンバーター内と離れた負荷のどちらの過熱状態もモニターすることができます。過熱状態の結果は、アプリケーションに必要な性能に応じて設定可能です(例えば、シャットダウンとラッチオフ、シャットダウンとクーリングダウン後の自動リスタート、熱損失を減らすための電力制限など)。

 外部データの接続により、動作条件を臨機応変に更新したり、事前に設定された各種性能オプションを選択することができます。また、双方向通信バスにより、障害の報告や状態の更新が可能です。

 図6に、内部ステートマシンを図示します。コントローラーの各種サブルーチンが、マトリクス型の対応表を使って正確な応答をリアルタイムで計算します。

図6:ソフトウェアのフロー図 (クリックで拡大) 出典:RECOM

 システムコントローラーのルーチンは、動作状態に応じて異なるマトリクス表間で切り替わります。デジタルコントローラーの長所は、部品数をかなり削減できることと、出力電圧と出力電流をインテリジェントに制御できることです。

式4:電流モード制御(CMC)の特性式

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執筆者プロフィール

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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