ファンは自由空間から吸い込み、自由空間へ吐き出すのが理想なのですが実際の機器ではいろいろな制限が生じ、理想通りにはなりません。
自由空間がムリだとしてもプロペラファンの場合、次善の策として図2の距離を目安に空間を確保する必要があります。
市販のエアコンの室外機が壁からある程度離して設置されているのもこのような理由によります。
(直径Φ=500mmとして壁側は100〜150mmの間隔を空けています)
やむを得ず狭い空間へ吐き出す場合は図3のように、導風板で最初から斜めに吐き出すことも流路抵抗の改善の一つです。
図3は吐き出し型ファンを2個並列に使用し、片方がコーナーに取り付けられているケースを想定しています(キャビネットに多数のファン付きユニットを設置するケース、など)
このケースでは吐き出した気流が他のファンの流れによって排出されず、コーナーで行先のない渦を巻く現象を起します。吸い込み型でも気圧の低下により、同様な現象を起し、ファンの性能が発揮できなくなります。
対策として、図3(b)のように導風板で風向きをそろえてやることでそのような干渉を減らすことができます。
また、図5に示すように吸い込み側にあまりにも空間がないとプロペラとフレームの隙間から空気を吸い込み、吐き出し型ファンのはずが弱いとはいえ、部分的に吸い込み流を発生させる現象が発生することもあります。
プロペラファンは同じファンでも図5に示すように、吐き出し型と吸い込み型では風速とそのパターンが全く異なります。
また、羽根の形状により、軸上の風量の低下、風量のビーム状のパターンが変わりますので、ファン変更時には機器内部の温度分布を確認することが必要になります。
ファンは空気という流体を扱いますので、流体の粘性による影響が見られる時があります。
例えば離れた風下の圧力の高い空間に空気を流そうとすると気体のはずの空気が固体のような働きをしてファンの風量を低下させるなどの影響をファンに与えます。
特に圧力が上がっている吐き出し口近傍は吸い込み口近傍よりも強く影響を受けますので吐き出し口近傍の部品のレイアウトなどの変更は温度の再評価につながる場合が時としてあります。
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