マイコンにおける「CAN」と「USB」の失敗事例集:Q&Aで学ぶマイコン講座(42)(4/4 ページ)
通常のマイコンでは、端子のデフォルトの設定は汎用IOになっています。これをCAN用端子やUSB端子に切り替える方法は、各マイコンで異なります。同じマイコンメーカーのマイコンでも、製品ごとに設定する方法が違う場合があるため、ユーザーは迷ってしまい、なかなか端子を切り替えることができずに、結局マイコンメーカーに問い合わせる例が多くあります。以下に、主な端子の切り替え方法を挙げます。
- 汎用IOをCAN端子やUSB端子に直接切り替える。
- CANやUSBを有効化すると、自動的に汎用IOがCAN端子やUSB端子に切り替わる。
- 汎用IOの設定とCANやUSBの設定が組み合わされて、汎用IOがCAN端子やUSB端子に切り替わる。
(例えば、STのSTM32F103は、これに相当します。図5参照)
図5:汎用IOの端子設定方法例(STM32F103の例)
多くのマイコンは、いずれかの方法に当てはまりますが、具体的な方法は、製品ごとにマニュアルをよく読んで確認してください。
STのSTM32ファミリのVBUS端子に関しての問い合わせがよくあります。USBのVBUSをこの端子につなぐことで、5V電圧の有無を検知し、VBUSがつながっているかどうかを知ることができます。この機能を知らない場合や、知っていても使わずにVBUS端子をオープンで使用しているユーザーを時折見受けます。VBUS端子を使うと、USBコネクタがつながれているかどうかを検知できますので、ぜひ、ご活用ください。
図6にSTのSTM32F20xの結線例を示します。
図6:USBのVBUSの使い方(STM32F20xシリーズの例)
もし、VBUS端子がないマイコンでも、5V耐圧の汎用IOで代用できます。この場合のしきい値電圧は、各マイコンの仕様により異なりますが、少なくとも0V(=つながっていない)か、数ボルト(=つながっている)かの判定は可能です。
ちなみに、VBUSは5VですがUSB信号ラインは3V系です、間違えないようにしてください(これも、過去に問い合わせがあった事例です)
日系半導体メーカーにて、25年以上にわたりマイコンの設計業務に携わる。その後、STマイクロエレクトロニクスに入社し、現在までARM Cortex-Mプロセッサを搭載したSTM32ファミリの技術サポート業務に従事。ARMマイコン以外にも精通しており、一般的な4ビットマイコンから32ビットマイコンまで幅広い知識を有する。業務の傍らマイコンに関する技術論文や記事の執筆を行っており、複雑な技術を誰にでも分かりやすい文章で解説することがモットー。
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