あれもこれも部品が壊れている…… バッテリーを逆接した基板の修理(2):Wired, Weird(4/4 ページ)
後日、依頼主から返事があり、残念ながら正常に動作していないということだった。まだ他に壊れている部品が隠れているようだ。依頼主と一緒にシステムを立ち上げて、ポンプのコントロールIC(MC33035)の動作をオシロスコープで確認すれば、修理完了できたかもしれない。
今回の修理でバッテリーをダイレクトに逆接したら、電流の制限がないため、基板に搭載された全ての部品に逆電圧がかかり、部品が破損してしまうことがよく分かった。破損していた部品を振り返ってみよう。
- タンタル電解コンデンサー(逆電圧が印加され短絡破損していた)
- インピーダンスが低い回路のパスコンではタンタル電解コンデンサーの採用は難しい。
- トランジスタ(制御回路のICに電源を供給するPNPトランジスタ)
- パスコンが短絡したため、過電流でトランジスタも破損していた。
- CMOS IC(MC33035/MC4093)
- GNDからVCCへ向かって寄生ダイオードで保護されているが、逆電流が流れて破損していた。
破損していたこれらの部品を交換しても正常に動作できなかった。残念ながら、この基板の修理は完了できなかったが、いろいろな不良動作を確認できて、よい経験になった。
⇒「Wired, Weird」連載バックナンバー一覧
《次の記事を読む》
- 突然タンタルコンが燃えた ―― バッテリーを逆接した基板の修理(1)
今回はバッテリーが逆接続された基板の修理について報告する。電源を逆接続したら基板に搭載された部品にどのような現象が起こり、どのように部品が壊れるかを検証するのによい機会になった。
- 基板にダメージを与えず、簡単に表面実装部品を外す方法
修理を行う中で、表面実装部品(SMD)を基板から外さなければならない機会が増えたが、なかなか、うまくいかない。そこで、表面実装部品を基板にダメージを与えることなく、簡単に取り外す方法を模索してみた。今回は、筆者がたどり着いた表面実装部品を簡単に外す方法を紹介しよう。
- 絶縁シートの熱履歴が物語る、電源の不良原因
DC12V出力のスイッチング電源の修理依頼があった。症状には『DC12V電源が安定しない。電圧が降下する。内部に焼けた痕跡がある』と記載されていた。非常に珍しい部品が焼けたために、不良部品がすぐに特定でき、電源を修理することができた。今回は、電源の絶縁シートの熱履歴で不良箇所を特定できた修理例を紹介する。
- 代替部品が見つからない減圧ポンプコントローラの修理 (スイッチ編)
今回は、代替品がないスイッチの交換方法と2台目の修理経過を報告する。
- 壊れていない基板の修理
今回は半導体製造装置に使用されている簡単なセンサーインタフェース基板の修理の報告だ。依頼された基板はI/Oのインタフェース基板で、実装されている部品は全て壊れていなかったのだが、動かないらしい。なぜだろうか……。
- 制御用PCの修理(前編) CPU横の膨れたコンデンサー
半導体製造装置に使用されている制御用PCの修理が舞い込んだ。「電源が入らない」という症状だったので電源の不良を疑ったが、CPU基板に故障原因があった……。今回から2回にわたり、制御用PCの修理の様子を報告しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.