メディア

DC-DCコンバーターの安全性(4)傷害の危険性と安全設計DC-DCコンバーター活用講座(29)(3/4 ページ)

» 2019年07月11日 11時00分 公開

FMEA

 故障モード影響解析(FMEA)もまた、安全性設計において重要な手法です。最も単純なレベルでは、設計上、個別の部品または素子が、通常の動作条件(公称入力電圧、全負荷、室温)のもとで、短絡またはオープン故障を起こすと考えることができます。そして、この故障結果を解析し、電源および、電源に接続されるあらゆる装置やシステムの安全性や性能にどう影響するのかを調べることができます。その上でFMEAを利用し、表4の定義に従って故障の深刻度を評価することができます。

表4:故障の深刻度レベル 出典:RECOM
深刻度 定義
壊滅的 複数のシステム機能のうちの、複数および/または全ての機能の停止に至る
危険 システムの安全性を損なう、あるいは危険な状況を作り出す
・安全域または機能性の著しい低下
・重傷または致命的な負傷
有害 システムの安全性を著しく低下させ、有害な状況を作り出す
・安全域または機能性の大幅な低下
・けがを含む身体的損傷
・深刻な環境的損傷および/または深刻な物的損傷
低い システムの安全性を大幅に低下させることはない
・身体的痛み
・軽度の環境的損傷および/または軽度の物的損傷
影響なし 安全性にも性能にも影響を与えない

 FMEAは、発生の可能性を考慮せずに基本的な安全性設計手法として用いることができます。しかし、リスク・アセスメントの一部として使う場合は、リスクを次式で計算します。

 リスク=深刻度×発生しやすさ

 従って、不良の発生確率を以下のように見積もります。

表5:故障発生確率レベル 出典:RECOM
発生の可能性 定義
恐らく発生する ・定性的:システム全体の寿命期間/1アイテムの運用寿命期間中、少なくとも1回は発生すると予想される
・定量的:運用1時間あたりの発生確率が1×10-5より高い
あまり発生しない ・定性的:各アイテムの全寿命期間中、発生しそうにない。システムまたは機器全体の寿命期間中に数回発生する可能性がある
・定量的:1時間あたりの発生確率が1×10−5より低いが1×10−7より高い
めったに発生しない ・定性的:各アイテムの全寿命期間中、発生しないと予想される。システムまたは機器全体の寿命期間中に1、2回発生する可能性がある
・定量的:1時間あたりの発生確率が1×10−7より低いが1×10-9より高い
極めて発生しそうにない ・定性的:まずありえない。システムまたは機器全体の寿命期間中、発生しないと予想される。
・定量的:1時間あたりの発生確率が1×10−9より低い

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.