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デジタルオシロスコープの歴史や種類デジタルオシロスコープの基礎知識(1)(2/5 ページ)

» 2019年12月04日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]

デジタルオシロスコープ

 1970年代初頭に、テクトロニクス、レクロイ、ニコレの各社は現在のデジタルオシロスコープにつながる開発を行っていた。当時、テクトロニクスの技術者であった広島県呉市出身のHiro Moriyasu氏が黎明期のデジタルオシロスコープ開発に貢献したことは、日本ではあまり知られていない。

 下記は、テクトロニクスが1973年に発売した黎明期のデジタルオシロスコープである。当時はDPO(Digital Processing Oscilloscope)と呼ばれていた。アナログオシロスコープにA/D変換器、波形メモリに磁気コアメモリ(小さなドーナツ状のフェライトコアを磁化させることにより情報を記憶させる、現在は使われなくなったメモリ部品)を取り付け、データ処理は外部に接続されたコンピュータ(PDP-11)で行った。現在のマイクロプロセッサを搭載したデジタルオシロスコープと、基本的な仕組みは変わらない。

図6:1973年に発売された黎明期のデジタルオシロスコープ(テクトロニクス)出典:IEEE spectrum誌 1974年3月号に掲載されたテクトロニクス社の広告

 高速A/D変換器が登場するのは1980年代中ごろ以降のため、各社からデジタルオシロスコープが数多く登場して普及が拡大するのは、1990年以降となる。

CCDを用いた初期のデジタルオシロスコープ

 高速A/D変換器が登場する以前のデジタルオシロスコープで高速現象を観測するために、1969年にベル研究所で発明されたCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)が用いられた。現在では、CCDと光センサーを一体にした画像センサーがカメラなどで利用されるが、CCDはアナログ信号を高速に記録するアナログメモリとして利用できる。高速現象をCCDメモリに高速に保存して、その後A/D変換器で低速に読みだせば高速現象を観測できる。

図7:CCDメモリを用いたデジタルオシロスコープ

 テクトロニクスでは、1982年に7000シリーズのプラグイン7D20として、CCDを使った最初の70MHz帯域、40Mサンプル/秒、8ビット、波形メモリ1024ワードのデジタルオシロスコープを実現した。その後、1986年に発売されたテクトロニクスの2430は、2チャンネル、150MHz帯域、100Mサンプル/秒、8ビット、波形メモリ1024ワードのCCDメモリを使ったデジタルオシロスコープであった。1988年に発売された同じシリーズの最上位機種の2440は、300MHz帯域、500Mサンプル/秒であった。

図8:CCDメモリを使ったデジタルオシロスコープ 2430A 提供:テクトロニクス

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