現在、市場にある多くのデジタルオシロスコープは、使う目的によって分類できる。ここではさまざまな視点でオシロスコープを分けてみる。
古くからオシロスコープの多くは、波形を見るための画面が本体についていた。画面のない単発現象の波形観測を行う測定器を、過去にはウェーブメモライザーやトランジェントレコーダーなどといっていた。最近では、PCやタブレットなどの性能が向上したため、本体に画面がなくてもPCなどからオシロスコープとほぼ同じ操作ができるようになった。画面のないオシロスコープは小型化が可能なため、研究や生産で利用する装置を構築するには最適となる。
2017年に発売されたテクトロニクスの5シリーズ MSO ロープロファイルは、画面のないオシロスコープである。ベースとなっている5シリーズ MSOは、画面のあるオシロスコープである。
オシロスコープは、位相が観測できるようアナログ2入力が一般的であったが、組み込みシステムをデバッグや、複数の電圧を供給する電源システムの動作シーケンスを評価するには多入力が必要なため、最近では大きな画面を搭載した8入力のデジタルオシロスコープがテクトロニクス、テレダイン・レクロイ、横河計測から販売されるようになってきた。
一般的なオシロスコープの入力は、コモンが共通となっている。このため各チャンネルのコモンは、接地電位に合わせる必要がある。しかし、測定対象によってはコモンモード電位が異なることがあるため、入力が絶縁されていることが要求される。特に現場での計測を行う場合、安全に波形観測できることが要求されるため、絶縁入力のオシロスコープが必要となる。
2006年に発売されたテクトロニクスの絶縁入力デジタルオシロスコープを、下記に示す。
デジタル回路とアナログ回路が混在した基板の波形観測をする場合は、複数チャンネルのアナログ信号観測と複数ビットのデジタル信号を、同時に観測する必要がある。このような目的で波形観測を行う場合は、アナログ/デジタル混在信号に対応したオシロスコープを選ぶ必要がある。
デジタル波形の観測に特化したロジックアナライザーは、高度なトリガー機能と多くの入力端子を持っているが、オシロスコープにあるデジタル信号観測機能は、ロジックアナライザーより簡易的なものとなっている。
2011年に発売されたテクトロニクスのアナログ/デジタル混在の波形観測ができるオシロスコープを、下記に示す。
多くのオシロスコープは、屋内の実験室や生産ラインで使われる。このため多くのオシロスコープは、商用電源で駆動するように作られている。屋外に設置されている設備の点検でオシロスコープを利用する場合などでは、電池で動作する小型なオシロスコープが必要となることがある。
テクトロニクスでは電池で動作するオシロスコープをいくつか用意しているが、屋外での利用を主な用途とした2011年に発売されたTHS3000の形状は、屋外での作業に適したものとなっている。
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