amsは、X線検出向け統合センサーチップ「AS5950」を発表した。従来の複雑なPCB基板をAS5950チップ1個と置き換えることにより、画像対ノイズ比の性能が大幅に高まるほか、CTスキャナーの材料や製造コストの削減にも貢献する。
amsは2019年12月、X線検出向け統合センサーチップ「AS5950」を発表した。AS5950と、同チップをCT(コンピュータ断層撮影)検出器に簡単に統合できるレファレンスデザイン「AS5950M」は、既にサンプル注文に対応している。
AS5950は、フォトダイオードアレイと64チャンネルのADCを同一のダイへ統合したCMOSデバイスだ。これまでのCTスキャナーのように、長い配線を用いて複雑なプリント配線板上に単機能フォトダイオードアレイを組み付ける必要はなく、チップ構成が単一であるため、CT検出器に容易に実装できる。
フォトダイオードアレイと読み出し回路間が最適化されたウエハーレベルで相互接続されているため、画像処理性能が向上している。従来の基板レベル配線に比べ、ノイズレベルが非常に低い。高解像度モードでのノイズは455pCのフルスケール範囲の電荷で平均0.20fC。ADCの直線性は±300ppm、フォトダイオードを含んだ複合直線性は±600ppmとなっている。
また、チャンネルごとの放熱が平均0.65mWと低く、ジャンクション温度を監視できる温度センサーを内蔵。アレイ構成を変更することで、0.98×0.98mmの標準ピクセルサイズの高解像度モードと、2つのピクセルを結合して1.96×0.98mmに拡大したZカバレッジモードで使用できる。
センサー領域は3面バタブル設定が可能で、Z方向の合計センサー寸法を16mmまたは32mmから選択できる。CT検出器への統合を簡素化するレファレンスデザインAS5950Mを用いた場合は、2個のAS5950を2組使用して32×16mm2、4個のAS5950を2組使用して32×32mm2のセンサー領域を確保できる。
さらに、放射量に応じて、フォトダイオードの最大電流を3つのフルスケール範囲で200〜600nAに設定可能だ。
同社は、医療画像処理市場の中でも、8および16スライスCTスキャナー市場が成長すると見込んでいる。従来の複雑なPCB基板をAS5950チップ1個と置き換えることにより、画像対ノイズ比の性能が大幅に高まるほか、CTスキャナーの材料や製造コストの削減にも貢献する。
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