デジタルオシロスコープの観測結果の信頼性を確保するには、定期的に標準器を使って行う定期校正と、デジタルオシロスコープ単体で行う自己校正を行うことが必要となる。自己校正は温度変化による変動を補正が主な目的となる。デジタルオシロスコープの波形観測の信頼性を保障していくには、定期校正が必要になる。デジタルオシロスコープの定期校正では下記の3つの確認が基本となる。
A-D変換器のサンプリング周波数を直接確認できないので、正確な周波数を発信できる信号発生器を使って波形を観測し、デジタルオシロスコープで観測した波形から得られた周波数と基準の信号発生器の周波数を比較することによってサンプリング周波数の確度が分かる。
正確な直流電圧を発生できる電圧発生器の信号をデジタルオシロスコープで観測することによって確度が分かる。デジタルオシロスコープにはレンジがあるので、各レンジでの校正を行う。
デジタルオシロスコープに急峻なパルス波形を入力して立ち上り時間から周波数特性を確認する場合と、正確な周波数を発振できる信号発生器を使って、仕様で規定された最高周波数と低周波信号との振幅差が−3dB以下であることを確認する方法がある。
オシロスコープの校正作業を行うための専用の校正器が販売されているので、大量にオシロスコープを保有する工場や研究所では、オシロスコープ校正器を持てば校正作業を自社内で行うことができる。
デジタルオシロスコープに組み込まれたファームウェアの最新版はメーカーのHPからダウンロードできるようになっているので、校正にあわせてファームウェアを更新することを勧める。
オシロスコープはエレクトロニクス技術者やファームウェア開発技術者にとって毎日使う最もなじみのある測定器である。デジタル化したオシロスコープは高機能化が進み、1台で多くの解析ができるようになってきた。波形を正確に観測する技術を持つことは技術者にとって必須なことであるので、この記事が皆さまの役に立つことを願っている。
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