クラスIIのキャパシターは、IEC規格の調和規格であるJIS-5101-22:2014においても市場の要求として付属書C(参考)で紹介されています。
EIA-RS-198規格のクラスIIキャパシターの温度特性も3桁のコードを使用していますがJIS/IECのコードとは重複しないので混用することはないでしょう。記号の読み方は次の通りです。
1桁目 | 2桁目 | 3桁目 | |
---|---|---|---|
低温側文字コード | 上限温度の数値コード | 温度範囲域での容量変化の文字コード | |
X=−55℃ | 2=+45℃ | P:±10% | |
Y=−30℃ | 4=+65℃ | R:±15% | |
Z=+10℃ | 5=+85℃ | S:±22% | |
6=+105℃ | T:+22/−33% | ||
7=+125℃ | U:+22/−56% | ||
8=+150℃ | V:+22/−82% | ||
9=+200℃ | |||
その他の容量変化幅はA=±1%、B=±1.5%、C=±2.2%、D=±3.3%、E=±4.7%、F=±7.5%があります。 またメーカーオプション記号もあるようです |
例えば、Z5Uのキャパシターは+10℃から+85℃の温度範囲で容量変化率は最大で+22%から−56%の容量変化となり、X7Rのキャパシターは−55℃から+125℃の温度範囲で最大±15%の容量変化になります。
一般的に使用されているクラスIIセラミックキャパシター材料のいくつかを以下に示します。
多くのケースでEIAからJIS/IEC品への置き換えは可能ですが全く同じというケースは少なく、多少の差異が存在します。しかし、この差異は設計時の配慮で吸収できるものと考えられます。
EIA呼称 | 下限温度(℃) | 上限温度(℃) | 変化幅(%) | JIS該当品&コメント |
---|---|---|---|---|
X5R | −55 | +85℃ | ±15 | 2B2(±10%)、2C2(±20%)、2R2(チップ) |
X7R | −55 | +125 | ±15 | 2R1 |
X8R | −55 | +150 | ±15 | 2R0(チップ) |
X6S | −55 | +105 | ±22 | 2C1(+125℃、±20%)、2C2(+85℃、±20%) |
X7S | −55 | +125 | ±22 | 2C1(±20%) |
Y5V | −30 | +85 | +22/−82 | 2F4(−25℃、+30/−80%) |
Z5U | +10 | +85 | +22/−56 | 2E6 |
注)EIA規格には電圧印加モードはありません。
手順a | 手順b | 手順c | 手順d | |
---|---|---|---|---|
Ta=25±2℃ | 適用下限温度±2℃ | Ta=25±2℃ | 適用上限温度±2℃ | |
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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