次に、PEProを使って、さまざまな修正を加えたアプリケーションボードの配線レイアウトに対する3次元電磁界解析を実行する(図2)。これを実行すると、各配線のSパラメータを求めることができる。Sパラメータには、抵抗や寄生インダクタンス、寄生キャパシタンスなどの情報のほか、隣接した配線のクロストークなどの影響が含まれている。つまりSパラメータを求めれば、配線レイアウトの影響を考慮した極めて高い精度の回路シミュレーションが可能になるわけだ。
なおADSやPEProでは、アプリケーションボードの配線レイアウトのデータ形式として「ODB++(Open Data Base ++)」を推奨している。「DXF」や「Gerber」といったデータ形式ではない。DXFやGerberは、プリント基板の製造に向けたもので、層構成や厚さなどの情報(図3)のほか、ネット情報、電子部品の実装位置情報が含まれていない。このため、配線のSパラメータと電子部品のデバイスモデルを組み合わせる(再実装する)には、1つ1つ手動で設定する必要があった。電子部品のポート(端子)は、200〜300本程度あるのが普通であり、手動ではかなり骨の折れる作業だった。
しかし、ODB++には電子部品の実装位置情報が含まれている。このためPEProが自動で設定する。ユーザーは、1クリックするだけで200〜300本ものポートの接続が一瞬で完了する。
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