ワイヤレス技術を活用する「資産追跡」について解説します。前編となる今回は、資産追跡そのものについて、説明します。
Bluetoothの位置情報サービスは、「近接通信ソリューション」と「測位システム」に大別され、「測位システム」はさらに「リアルタイム位置情報システム(RTLS)」と「屋内測位システム(IPS)」の2つに分類されます。そして、RTLSシステムとして最も一般的に使われているソリューションが「資産追跡」です。
資産追跡は、施設や一定エリア内のさまざまな物体を追跡するために用いられる技術です。追跡する対象が“移動する資産”という点を除けば、屋内ナビゲーションや道案内システムと非常によく似ており、ネットワークを中心として動作します。技術の面でも、似た技術か、同じ技術が使われます。
資産追跡の用途例としては、以下が挙げられます。
資産追跡の過程で収集されたデータは、意思決定のサポート、損失防止、資産運用効率の改善などに使われます。最終的な目標は、業務時間とコストの節約です。
資産追跡システムは、一般的に主に以下の2種類のデバイスで構成されます。
バックエンドのソフトウェアはロケーションエンジンとも呼ばれ、システムの基幹として位置情報の計算を行います。他にもロケータデバイスの管理、資産の位置情報の報告、追跡指標のデータ分析を行うユーザーへのインタフェースの提供など、さまざまな役割を担います。
一般的に、追跡対象の資産は大きく分けて以下の2つのカテゴリーに分類されます。
両者にはいくつかの違いがあり、それによって追跡方法も異なります。
例えば所有資産は、一般的に各資産に固有のシリアル番号で追跡します。一方、在庫は部品番号および数量で追跡します。これは、在庫の各商品は基本的に同じものとして扱えるためです。
従来、資産追跡は手作業で行われてきましたが、これは多大な人件費がかかる作業です。ですがコンピュータやソフトウェア、ワイヤレス技術などの近年の技術の発展により、はるかに効率的な自動化ソリューションが実現しています。
資産追跡ソリューションを実装すれば、以下のような効果が期待されます。
資産追跡は、ビジネス面で多くのメリットをもたらします。とりわけ重要な要素として、以下の点が挙げられます。
次回の後編では、さまざまなワイヤレス技術を比較しながら、資産追跡に最も適した技術を探ります。
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