大電流DC-DC電力コンバーターは、一般的に多相トポロジーを採用しています。各相は通常、ハイサイドとローサイドのハーフブリッジ方式に基づいて2つのMOSFETとインダクターで構成されます。ハイサイドとローサイドのMOSFETがパッケージ化されて電力密度が高くなっており、一般にパワーステージと呼ばれます。多相が連携して必要な出力負荷を供給し、インテリジェント型多相コントローラーで制御されます。
負荷変動、リップル、過渡応答、ノイズ放出(放射ノイズと伝導ノイズの両方)を最適化するために、各相のスイッチングをずらし、高精度に制御する必要があります。位相数と各パワーステージの電流は、特定世代のCPUに対応して細かく調整されます。市場では、各パワーステージの電流密度が高くなると同時に、必要な相数が急速に増加していることが分かります。最新の多相コンバーターは、最大16相を採用し、全供給電力は容易に1000Wを上回ります(図4)。
先進的なCPUが必要とする極めて高い電力密度と引き換えに、非常に高い効率と厳密な負荷レギュレーションが求められます。CPU/ASICに採用されている先進のディープサブミクロン・シリコン技術では、正常動作に厳密な電圧許容差が要求されます。そのため、パワーステージには、電力損失が少ないだけでなく、電流、温度、障害の報告などの「スマート」機能も必要になります。
正確な相電流と温度を多相コントローラーに報告することで、電源全体がCPUに必要な電圧レギュレーションを提供できます。また、MOSFET技術の進歩は、各世代のパワーステージの効率向上にも重要な役割を果たします。図5は、より具体的な効率改善の事例を示しています。設計者は、全体として最適な設計を行うために、コスト、ピーク効率、最大負荷効率のバランスを図る必要があります。
より多くのデータを手元に置きたいと考える消費者が増える中、クラウド市場セグメントは今後も進化と拡大を続けるでしょう。このような要求に応えるには、クラウドインフラストラクチャを支える技術部門が、市場のニーズを先取りしてイノベーションを追及していくことが必要です。このインフラストラクチャを支えるには、多相コントローラーやスマートパワーステージ、POLを含むクラウド電源ツリー全体で、効率と信頼性を最適化するための綿密な設計と製造が不可欠になります。
【著者】JULIE TYLER:onsemi(オンセミ) MCC事業部 戦略マーケティングマネージャ
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