用途によっては、モーター始動時に大きすぎる電流が流れると、モーター駆動回路の損傷や機器の破損につながることがあります。このような場合、電流制限制御をする必要があります。先ほどの回路の加えて、電流制限制御の回路を追加した回路を示します(図3)。
電流制限等価回路は、以下の6回路で構成されています。
モーター電流制御の例として、モーター電流を1A以下に制限したときの動作例を図4に示します。電流制限回路によって電流制限制御されているため、モーター駆動電流のピーク電流値は最大で1A程度におさまっています(グラフでは100mV以下)
コンパレーターで比較した電流が指令値を超えた場合、コンパレーター出力はHiとなり、PWMの出力は次のPWMサイクル開始までOFFになります。そのため、コンパレーターが過電流を検出してから次のPWMサイクル開始までの間、負荷駆動用トランジスタがOFFされ、電流出力値が制限されます。モーター速度が上昇するにつれて、モーター電流は減少します。モーター電流が電流制限制御以下の値になった時、コンパレーター出力はLowになります。
前述のような電流制限制御を実現したい場合、コンパレーター、D-Aコンバーター、PWMを内蔵したマイコンを使用することを推奨します。STマイクロエレクトロニクスのSTM32G0B1マイコンではこれらのペリフェラルを全て内蔵しており、安価に電流制限制御を実現できます。
コンパレーターを使用した電流制限の実現方法については、アプリケーションノートAN4232”Getting started with analog comparators for STM32F3 Series and STM32G4Series devices”内で、Cycle-by-cycle current controlとして紹介されているので、興味のある方はこちらもご参照ください。
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