4.プログラム実行ができないEEPROMがあります。STM32L151マイコンでは、EEPROMがデータ保存専用になっており、プログラムを書いても実行できません。この仕様も製品ごとに異なるため、必ずマニュアルやデータシートなどの仕様書を確認してください。
5.EEPROMの扱い方はRAMに似ていますが、電気的特性は大きく異なります。EEPROMの書き込みと消去にはミリ秒単位の時間が必要です。図2にSTM32L151マイコンの例を示しましたが、図5に、もう1つの例としてSTM8S207マイコンの例を示します。この場合、消去して書き込む操作に最大6.6ミリ秒、書き込みだけでも最大3.3ミリ秒必要です。
命令の実行速度は、ミリ秒よりもはるかに速いため、データを書き込む命令の次の命令でそのデータを読み出しても、正確なデータは読み出せません。少なくとも3.3ミリ秒待ってから読み出す必要があります。
フラッシュメモリ、RAMおよび外付けEEPROMと比較して、内蔵EEPROMのメリット/デメリットをまとめます(表1)
比較対象 | メリット | デメリット |
---|---|---|
フラッシュメモリ | ・消去単位が小さい(細かい操作が可能) | ・容量が小さい ・プロブラム実行できない製品がある |
RAM | ・電源を切ってもデータは保存される | ・消去/書き込み時間が遅い |
外付けEEPROM | ・アクセス操作が簡単 ・消去/書き込み時間が速い |
・書き換え回数が少ない |
EEPROMの消去単位の方が小さいため、細かい操作が可能です。ただし、容量がフラッシュメモリに比べて小さいため、大量のデータを保存したい場合はフラッシュメモリが優位です。
また、製品仕様に依存しますが、プログラム実行ができない製品もあります。
RAMは書き込み命令後、1〜2マシンサイクルでデータが書き込まれますが、EEPROMの場合は消去や書き込みにミリ秒単位の時間が必要です。
外付けEEPROMとのインタフェースは、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter-Integrated Circuit)なのでアクセスに手間がかかりますが、EEPROMはアドレス指定で簡単にアクセスできます。
外付けEEPROMは、内蔵EEPROMと比較して書き換え回数が多いです。一例として、STのEEPROM「M95M02」*3)の書き換え回数が400万回である一方、STM32L151マイコンに内蔵されたEEPROMは30万回です。
しかし、書き込み時間はSTM32L151マイコンのEEPROMの方が速く、M95M02の10ミリ秒に対し3.95ミリ秒です。
*3)M95M02
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