凸版印刷は、紙素材をアンテナ基材に用いた、環境配慮型NFCタグラベルの販売を開始した。プラスチック非使用ながらNFCタグとしての通信性能を保っていて、ラベルの厚さも30%削減した。
凸版印刷は2023年1月、紙素材をアンテナ基材に用いた、環境配慮型NFC(近距離無線通信)タグラベルの販売を開始したと発表した。価格は、PETフィルムを基材とする同社従来品と同程度に抑えた。ラベル表面にカラー印刷を施す場合は、別途見積もりが必要となる。
同ラベルは、ロールtoロールによる連続搬送プロセスとレーザー加工を組み合わせた回路形成技術を採用した。また、紙基材上のアンテナの形成には、電気抵抗が低いアルミニウム箔を用いた。これらにより、プラスチック非使用ながらNFCタグとしての通信性能を保っている。
層を構成する材料において、紙基材が表層材を兼ねるため、PETフィルムを基材とした同社従来品と比べてラベルの厚さを30%削減できた。これにより、同ラベルを張り付けた書類などを重ねた場合も、かさばりにくくなる。
プラスチックの削減にも寄与する。同社によると、標準的な80×45mmサイズのNFCタグラベル100万枚の基材をPETから紙に置き換えた場合、プラスチック樹脂を約110kg削減できるという。
また、紙という素材の性質を生かし、ラベル貼り直しによる不正利用を防ぐことができる。物品などに貼付した同ラベルを剥がそうとすると、基材が簡単に破損して通信不能になる仕様とした。
同社は今後、環境意識が高い欧州市場をターゲットに同ラベルの拡販を進め、2025年度には全世界で約20億円の売り上げを目指す(関連受注を含む)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.