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ウオッチドッグタイマーのエラーが出る工作機械の制御パネルを修理Wired, Weird(3/3 ページ)

» 2023年04月18日 11時00分 公開
[山平豊(Rimos)EDN Japan]
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再発した『008』エラー、原因は?

 発送した翌日に連絡があり「設置して8時間程度は問題なかったが、エラー『008』が再発した』ということだった。依頼者へどういう動作の時にエラー『008』が発生するのかを調べるように連絡した。

 このパネル機器の弱点は、メンテナンスのための金属カバーと思われた。このカバーに塗装があり、おまけにゴムのクッションまで付けてあった。このため本体ケースのシールドが金属カバーで浮いてボックスのシールドが切れていて、この位置に外部ノイズが飛び込む可能性が高い。過去のノイズ試験の経験では、この浮いた金属板に静電ノイズ試験を行えば、一発で誤動作が再現できると思われた。

シールド強化をアドバイスしたところ……

 依頼主から借りた取扱説明書の中に不具合に関するメモが挟まれていたのを読むと、CPUの動作不良が多いようだ。依頼者には「本体とカバーの接触面の塗装をはがし、シールドを強化すれば不具合は減るでしょう」とアドバイスした。パネル機器の不具合対応は少し様子をみるしかなさそうだ。

 数日後に依頼者から連絡があった。「パネルですが、ゴムと塗料を落としている間にすぐにエラーが出ました。外した状態で他の作業をするととエラーが頻発しました。カバーを取り付けて、帰る時間までの約4時間はエラーが出ませんでした。明日の朝、再度確認します」ということだった。

 その後、1週間が経過しても不具合発生の連絡はなかった。一応は正常に動作しているようだ。開発時点でノイズ試験を実施していたなら、この機器の弱点が分かっただろう。開発時にシールド対策を追加していたら、ウオッチドッグタイマーのエラー表示は必要なかったと思われる。工作機械としては、あまりにもお粗末な不具合内容だった。

そして3カ月後……

 3カ月後にウオッチドッグタイマーのエラーが再発したと連絡があった。この機器を使う工場は切削油の雰囲気の濃度が高く、パネル表面に付着した油がカバーの内側に入った可能性がある。カバーの内側をクリーニングして、接着剤付きのアルミテープでシールして、隙間に油が入らないようにアドバイスした。その後、ウオッチドッグタイマーエラーが発生したという連絡はない。

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