スイッチング電源に使用するMOSFETのチャネル温度のように損失の変動が素子の温度上昇に影響を与える場合には図1のようにパルス損失の重ね合わせとして計算します。
図1においてP1はターンオン損失、P2はRon損失、P3はターンオフ損失、τはFETのオン期間、Tは1周期です。
上記のP5を用いた簡易温度計算の精度を図2に示します。図2の損失波形はスイッチング電源の実際の損失波形をモデル化してあり、計算条件は以下の通りです。
これらの条件から各損失の1周期(10μs)の平均は次のようになります。
ターンオン損失平均Pr=0.1/10×100 =1W
オン損失平均 Pon=3.5/10×1.43 =0.5W
ターンオフ損失平均 Pf=0.05/10×400 =2W
∴P4=3.5W (1周期平均損失)
このP4は1周期の平均損失ですから定常的な温度上昇[P4×Rth(J-C)]に関係し、過渡的な変動には寄与しません。
またターンオン期間τ(3.65μs)の平均損失P5は次のようになります。
P5=(100×0.1+1.43×3.5+400×0.05)/3.65=9.59W
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