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ゾーンアーキテクチャとイーサネットが自動車の将来を推進新機能採用やソフトウェア定義型自動車など(3/4 ページ)

» 2024年04月18日 11時00分 公開

ゾーンアーキテクチャ内のマルチ ギガビット イーサネット

 ゾーンアーキテクチャの進化は、ボディードメインデータの集約、パワーディストリビューション、セントラルコンピューティングから始まります。時間の経過とともに、ゾーンアーキテクチャはADASのような他のドメインからのデータ集約を開始します。最終的な目標は、全てのドメインをゾーンアーキテクチャに組み込むことです。データがどのドメインに属しているかにかかわらず、ゾーンモジュールとセントラルコンピューティングシステムは引き続き同じバックボーンネットワークを使用してデータを転送します。

 ボディードメイン機能で必要とされるのは、10Mbps以下です。ただし、レーダー、LiDAR、カメラのようなADAS機能がゾーンアーキテクチャに組み込まれるため、センサーデータの量に対応するために速度と帯域幅の要件を高める必要が生じます。レーダーセンサーは通常、0.1Mbps〜15Mbps、LiDARは20Mbps〜100Mbpsを生成します。カメラが生成するのは、500Mbps〜3.5Gbpで、現在の自動車は通常、4〜6個のレーダーセンサー、1〜5個のLiDARセンサー、6〜12個のカメラを搭載しています。ゾーンアーキテクチャを検討する場合、1つのゾーンモジュールに、2つのレーダーセンサー、2つのLiDARセンサー、4つのカメラを搭載することができます。

図3:ゾーンアーキテクチャで各センサーが生成するデータ量と、複数のセンサーを組み合わせて1つのサンプルゾーンモジュールにしたときに生成されるデータ 図3:ゾーンアーキテクチャで各センサーが生成するデータ量と、複数のセンサーを組み合わせて1つのサンプルゾーンモジュールにしたときに生成されるデータ[クリックで拡大]

 生成された合計データから、自動車メーカー(OEM)各社は2.5Gbps、5Gbps、10Gbpsの各イーサネットを推進しています。ゾーンアーキテクチャには、ADASセンサーによって生成された膨大な量のデータをセントラルコンピューティングシステムに送信できるバックボーンネットワークが必要です。非圧縮カメラデータは、既に現在のイーサネットが処理できる量を上回っていて、カメラの解像度とピクセル数は増加を続けています。自動車が自律走行の実現を目指している中、センサーの数は増加する見込みです。従って、カメラの分解能とセンサーの向上をサポートするために必要な帯域幅は、それに応じて増大します。

 OEMが要求するイーサネット速度は、ゾーンモジュールにさまざまな機能を組み込むための移行スケジュールによって異なる可能性があります。全体として、ゾーンモジュールでADAS機能が多くなるほど、帯域幅要件は高くなります。

 ゾーンアーキテクチャのバックボーンとしてイーサネットを使用すると、自動車がインターネット、または、リモートOEMサーバに接続していれば、車内ネットワーク経由でより多くのデータを転送できるようになります。これにより、Firmware-Over-The-Air(FOTA)の更新を通じて、サブスクリプションベースのサービスと車両診断を実現できます。FOTAの更新は、セントラルコンピューティングノードからセンサーやアクチュエータが独立しているため、異なるハードウェアおよびソフトウェアの更新サイクルが可能になります。また、FOTA更新を実施すると、新しいモデルを待っていることや、車両を持ち込んで作業することなく、機能の追加や安全性の向上を実施できます。OEMは発売後に追加機能を伴う車両の更新を管理できるため、OEMにとっても顧客にとってもメリットがあります。

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