低損失特性、高短絡耐量の車載向け1200V IGBT:ローム 第4世代IGBT
ロームは、車載向けの1200V 第4世代IGBTを開発した。外周を含めたデバイス構造を改善し、25℃での短絡耐量が10マイクロ秒となったほか、スイッチング損失や導通損失が低減している。
第4世代IGBTのパッケージ2種 出所:ローム
ロームは2024年11月、車載向けの1200V 第4世代IGBTを発表した。ディスクリートパッケージ4種およびベアチップ11種をそろえる。月産100万個体制で量産を開始していて、サンプル価格は1個当たり1500円(税別)だ。
第4世代IGBTでは、外周を含めたデバイス構造を改善した。25℃での短絡耐量が10マイクロ秒となったほか、スイッチング損失や導通損失が低減している。
新製品のうち「RGA80TRX2HR」「RGA80TRX2EHR」は、4端子のTO-247-4Lパッケージ(16.0×23.45×5.0mm)を採用した。端子間の沿面距離を確保していて、汚染度2の環境下で実効電圧1100Vに適応可能だ。同社従来品と比べてより高電圧での用途に対応する。また、沿面距離を確保したことで、メーカー側の設計負荷も軽減する。
同パッケージでは、電圧測定専用のケルビンエミッター端子を採用し、スイッチングの高速化と低損失化を図っている。3相インバーターで比較すると、同社従来品から約35%、一般品からは約24%、損失を低減できるという。
エネルギー損失比較 出所:ローム
その他に、TO-247Nパッケージ(16.0×21.0×5.0mm)を採用した「RGA80TSX2HR」「RGA80TSX2EHR」に加え、ベアチップ「SG84xxWN」11種を用意する。ディスクリート品4種は、動作温度範囲が−40〜+175℃で、車載向け電子部品規格「AEC-Q101」に準拠する。
- 車載向けイグナイター用IGBT ツェナーダイオードとゲート抵抗を内蔵
サンケン電気は、ツェナーダイオードやゲート抵抗を搭載した、車載向けイグナイター用IGBT「DGU5020GR」を発表した。外付けのクランプ回路なしで、点火コイルの駆動回路を構成できる。
- ユニット数削減に貢献する、4.5kV IGBTモジュール
インフィニオン テクノロジーズは、4.5kV IGBTモジュール「XHP3」ファミリーを発表した。450AのデュアルIGBTモジュール「FF450R45T3E4_B」と、エミッター制御E4ダイオードを備えた450Aのダブルダイオードモジュール「DD450S45T3E4_B5」を用意する。
- 消費電力最大11%減、IH調理器向けIGBTシリーズ
STマイクロエレクトロニクスは、IH調理器向けIGBT「STPOWER IH2」シリーズを発表した。飽和電圧が1.7Vと低く、ターンオン時の損失を抑制する。1350V耐圧で175℃の最大動作温度を備える。
- 高い環境耐性を備えた第7世代の650V IGBT
インフィニオン テクノロジーズは、同社の第7世代IGBT「TRENCHSTOP IGBT7」を発表した。定格電圧は650Vで、定格電流は40〜150Aを用意する。ストリングインバーターやEV用充電システム、蓄電システムなどに適する。
- 600VディスクリートIGBT、完全定格のダイオードを内蔵
ネクスペリアは、600V30AのディスクリートIGBT「NGW30T60M3DF」を発表した。ソフトかつ高速に逆回復する完全定格のダイオードを備えていて、整流器や双方向回路での用途や過電流状態からの保護に適している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.