低電圧検出器は、常時電源電圧を定電圧源と比較しています。電源電圧が低下し、基準の電圧まで下がったら、バックアップドメインの電源を切り替えます。
通常の電子回路で、定電圧源といえばツェナーダイオードを思い浮かべると思いますが、マイコンの場合はBGRが使われることが多いです。BGRは比較的簡単にマイコン内に形成することができ、電圧も安定しているからです。
低電圧検出器は低電圧源と比較器で構成されます(図2)
メイン電源の電圧と低電圧源の電圧は、常に比較器が比較していて、メイン電源が基準値以下になった時にバックアップドメインの電源を切り替えます。ユーザーは特に何もしなくても、マイコンの電源が入ったら自動的に動作する回路です。
本記事はマイコンに関する解説をメインとしているため、BGRの詳しい解説についてはさまざまな技術専門書やWebサイトを参考にしてください。簡単にいうと、半導体のエネルギー準位の差で発生する電圧を取り出す回路です。電圧値はエネルギー準位に依存するため、マイコンの電源電圧に依存しません。そのため、電源電圧が変動しても一定電圧が得られ、電源電圧を監視できます。
この他に、マイコンの電源電圧を監視する回路には、パワーオンリセット(POR)、パワーダウンリセット(PDR)、ブラウンアウトリセット(BOR)、プログラム可能な電圧検出器(PVD)があります。
マイコンに電源を投入する際、一瞬でマイコンの動作電圧まで立ち上がればよいのですが、多くの場合0Vから傾斜を持って上昇し、動作電圧に達します。この時、短時間ですが電源電圧が動作保証電圧の範囲外になる場合が想定されます。動作保証電圧の範囲外では、マイコンの動作は保証されませんので、暴走する可能性があります。たとえ短時間でもマイコンが暴走すると、システムに問題を引き起こす可能性があります。
電源投入時に、電源電圧がマイコンの動作電圧に達するまでの間に、リセットをかけてマイコンの動作を止めておく機能が、パワーオンリセット(POR:Power On Reset)です。PORは電源電圧を監視するので、BGRを使った低電圧検出器と同様の仕組みです。
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