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タイマーIC「LM555」は何でもこなす――サーモスタットを実現Design Ideas アナログ機能回路

今回は汎用性の高いタイマーIC「LM555」を、その通常の役割であるアナログ発振器やタイマーとはかなり異なる回路へと変化させるアイデアだ。ここでは、NTCサーミスターと抵抗を組み合わせ、抵抗で設定するON/OFFサーモスタットを構成している。

» 2026年04月16日 11時00分 公開
[Stephen WoodwardEDN Japan]

 もしあなたのお気に入りの道具がハンマーであれば、あらゆる問題がクギに見えるだろう※)――アブラハム・マズロー

 アナログタイマーIC「LM555」および「LMC555」をいじることが多い筆者にとって、マズローはこの有名な警句をまさに私のために書いたのかもしれない。そして今回もまた、そうなった。Bang-Bang制御(オンオフ制御)だ。

※)一般的には「If you only have a hammer, you tend to see every problem as a nail.(訳:ハンマーしか持っていなければ、全てがクギに見える)」とされるが、本稿では筆者の表現をそのまま用いています。

 図1の回路は、汎用性の高い555を、その通常の役割であるアナログ発振器やタイマーとはかなり異なる回路へと変化させている。ここでは、NTCサーミスターと、1本(あるいはオプションで2本)の抵抗を組み合わせ、抵抗で設定するON/OFFサーモスタットを構成している。加熱用にも冷却用にも容易に構成できる。

<strong>図1:基本的なBang-Bang制御の加熱構成。設定温度におけるサーミスター抵抗はRb/2だ。オプションのRhは所望の温度ヒステリシスを設定する。出力は最大15V、300mA(4.5W)</strong> 図1:基本的なBang-Bang制御の加熱構成。設定温度におけるサーミスター抵抗はRb/2だ。オプションのRhは所望の温度ヒステリシスを設定する。出力は最大15V、300mA(4.5W)【クリックで拡大】

 その動作は次の通りだ。

 555の機能の1つでありながら(少なくとも十分に文書化されていない)特性として、図1のようにThreshold(ピン6)をVddに接続した場合の挙動がある。このときTrigger(ピン7)は反転アナログコンパレーター入力として機能し、Trigger<Vdd/3であればOutput(ピン3)とDischarge(ピン7)をハイに、Trigger>Vdd/3であればローに駆動する。

 この動作を図のようにNTCサーミスターとバイアス抵抗Rbと組み合わせると、簡単で実用的なサーモスタットが得られる。サーミスターの温度が設定値より低い(サーミスター抵抗>Rb/2)場合、負荷(例えば抵抗ヒーター)への電力供給がONになる。温度が高い場合(サーミスター<Rb/2)は電力がOFFになる。

 さらに重要な点がある。サーモスタットの精度は絶対電圧ではなく抵抗比のみに依存するため、電源V+は安定化されている必要がない。実際、負荷がリップルの影響を受けない場合(例えば抵抗ヒーターは問題としない)、フィルタリングすら不要である。

 さらに、図2のようにサーミスターと抵抗の位置を入れ替え、冷却ファン(あるいはペルチェクーラー)を接続すると、温度制御の極性が反転する。これによって最低温度ではなく最大温度を一定に保つようになる。出力負荷が誘導性(例えばファンモーター)であっても、誘導性サージの心配は不要だ。LM555の出力ピンにはキックバック保護が内蔵されている。

<strong>図2:冷却構成。設定温度におけるサーミスター抵抗は2Rbだ</strong> 図2:冷却構成。設定温度におけるサーミスター抵抗は2Rbだ【クリックで拡大】

 ヒステリシス(dT)が必要な場合、典型的なNTCの温度係数(約4%/℃)に対して、簡便(ただし近似的)な目安としてRh=680k/dT℃とすれば良い。

<strong>図3:設定温度50℃における代表的な構成。加熱(左)、冷却(右)で、ヒステリシスは約1℃</strong> 図3:設定温度50℃における代表的な構成。加熱(左)、冷却(右)で、ヒステリシスは約1℃【クリックで拡大】

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