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タップ式高入力コンバーター(2)設計条件たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(32)(3/3 ページ)

» 2026年08月27日 11時20分 公開
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(2)L2の電流がS1のオン時とオフ時で連続でない

 図3にL2の電流波形の模式図を示します。
 入出力条件をVcc=200V、Vout=5V、Iout=0.5Aとして下記の手順に従って各値を計算していきます。

図3 図3:チョークL2の電流波形模式図

 200V入力時のδは前述の4式からδ=0.23になります(N1=53T、N2=5T)。

 S1オン時のIL2の電流変化ΔI(ON)は単純なステップダウン式と異なりL1、L2が直列に接続されているので2式を使って次のようになります。

式D

 Vcc=200V、δ=0.23の時の電流変化幅ΔI(ON)

式E

です。

 出力電力はどこからか湧いてくるわけではなく、すべてVccから供給されます。つまり電源Vccから流出する平均電流I(VCC)

式F

となります。
 このI(VCC)は1周期を通した平均値でありオン期間中の平均電流I2(ON)

式G

となり、チョーク電流IL2(ON)は(54.34−33.3/2)mA〜(54.34+33.3/2)mA=37.69〜70.99mAまで変化します。

 磁束変化は(N×I)に比例しますので各巻き線の巻き回数と電流変化が分かればNIが等しいとして他の巻き線に換算できます。
この時、オン時の電流変化は(N1+N2)に起因し、オフ時の電流変化はN2に起因することに留意してください。

 前述の電流変化(=磁束変化)をすべてL2へ換算すると電流の換算式は

式H

であり、オフ時チョーク電流IL2(OFF)は823.5〜437.2mA、オフ時の平均電流I2(OFF)=54.34×11.6=630.3mAと計算できます。

 出力平均電流Ioutは図3の面積の平均ですから2つの長方形と考えれば次のようになります。

式I

 設定値(500mA)とは0.4%の誤差がありますが用いた数字を丸めた影響です。

 今回はシミュレーションの前段階として計算できる範囲で各項目を計算してみました。次回はこの設計条件でシミュレーションを行い、計算の精度を確認します。


執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


⇒【連載「たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計」バックナンバー】

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