DisplayPortとHDMIによる次世代デジタルビデオインターフェース競争に新たに参戦したのが、Intel社が推進する第3の規格UDI(unified display interface)である。UDI Work Groupは、米NVIDIA社、Silicon Image社、Apple社、韓国LG Electronics社、Samsung Electronics社などの企業により、2005年12月に結成された。UDIバージョン1.0の仕様は2006年7月に承認されたが、その後目立った進展は見られていない。
HDMIの後継といえるUDIは、HDMIとのある程度の互換性を持つが、1リンク当たり最大16Gビット/秒の帯域幅を備える。サンフランシスコで最近開催されたプレスブリーフィングにおいて、HDMIの関係者は、UDIをビジネス用途のパソコンに向けた、DVIの後継となるデジタルビデオインターフェースであると位置づけた。UDIでは帯域幅を広くすることで、シングルリンクの解像度を向上させているが、HDMIのような音声に対応した拡張機能は持たない。
UDI規格の状況について、Intel社からは何の発表もない。信頼できるいくつかの匿名の業界情報筋によると、同社はUDIをやめて、DisplayPortに向けた実装へと方向転換しているという。
今後、デファクトスタンダードとして普及するデジタルビデオインターフェースはどの規格だろうか。最近の動向を見てみよう。
先ほど述べたように、Intel社はUDIを自社のデバイスに実装することをやめるのかもしれない。この同社の心変わりにはいくつかの理由があるという。
1つの理由は、単一の規格により、外部および内部に統合されたグラフィックスデバイスからディスプレイまでの接続体系を網羅してほしいという要求があることだ。この点に関しては、DisplayPortのほうがHDMIやUDIよりも優れているとVESAは主張している。おそらく、Intel社もそれを認めたのであろう。
ほかには、VESAが遅まきながらDisplayPortのDRMにHDCPを採用したことも理由の1つとして挙げられるかもしれない(Intel社はHDCPの基盤となる知的財産権を保有している)。
Intel社がUDIからDisplayPortへ乗り換えるという噂が事実なら、その心変わりにより、VESAの今後の見通しはかなり明るくなるだろう。しかし、すでに広く普及しつつあるHDMIを今すぐ切り捨てるわけにはいかない。
現在、HDMIやDVIに準拠したHDCP搭載のグラフィックスカードがかなり多く製造されている。このことが、Windows VistaがDRMに対応しなければならなかった理由でもある。
HDMIポートは、HDTVや最近発表されたセイコーエプソンのホームシアター用プロジェクタ、パソコン用モニターにも搭載され始めている。また、Silicon Image社などのメーカー製のチップをベースに、ソニーの「プレイステーション3」や東芝の第2世代HD DVDプレーヤに代表される、HDMIバージョン1.3対応の民生向けビデオ再生装置も市場に参入している。
HDMIと比較して明らかに優れた技術的利点がなく、市場における認知度が上げられないならば、DisplayPortが今後の競争においてリードするのは非常に困難であろう。
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