ソフトウェア無線(SDR)技術を搭載するNXP Semiconductorsのデジタルラジオベースバンド処理用プロセッサ「SAF356X」が、2012年内にインドやロシアで用いられているDRM方式に対応する。
NXP Semiconductorsは2012年1月、同社の車載情報機器向けデジタルラジオベースバンド処理用プロセッサ「SAF356X」が、インドやロシアで用いられているDigital Radio Mondiale(DRM)方式に対応すると発表した。
SAF356Xは、同社が開発したソフトウェア無線(SDR)技術を搭載している。SDR技術によって、プロセッサそのものは変更せずに、ファームウェアを入れ替えるだけで複数のデジタルラジオ方式に対応できる。このため、デジタルラジオ機能を持つ車載情報機器を開発する際に、どの地域向けであってもベースバンド処理用プロセッサは同一のものを利用できるというメリットが得られる。今回発表したDRM方式に対応するICやファームウェアは、2012年末までに提供される見通しだ。
これまでSAF356Xが対応していたのは、米国で利用されているHDラジオ方式と、欧州などで利用されているDAB(Digital Audio Broadcast)/DAB+方式、DABをベースに韓国が開発したT-DMB(Digital Multimedia Broadcasting)方式だった。今回発表したDRMは、インドやロシアで用いられているデジタルラジオ方式で、AMラジオの周波数帯域でもFMラジオに匹敵する音声品質を確保できることを特徴としている。
インドは、AMラジオの人口カバー率が98%であるのに対してFMラジオは37%にとどまっている。このため、AMラジオの周波数帯域を有効利用できるDRMをデジタルラジオの方式として採用した。最近では、インド国営ラジオ放送局のAll India Radioが、インド西部に設置した1MWの出力を持つDRM方式のデジタルラジオ送信局からの放送を間もなく開始するなど、導入が加速している。
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