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60A容量のDCパワーリレー、寸法/重量を約50%削減オムロン G9EN

オムロンが2012年10月に発売する「G9EN」は、同社従来品に比べて寸法と重量ともに50%削減した。同社独自の封止構造と磁石配置を開発することで実現した。

» 2012年08月24日 12時57分 公開
[前川慎光,EDN Japan]

 オムロンリレーアンドデバイスは2012年8月、業界で最も小型/軽量をうたう、電流容量60AのDCパワーリレー「G9EN」を発表した。DCパワーリレーとは、例えば大容量電池とその周辺回路を導通させたり、遮断させたりする直流回路用の開閉部品である。

 G9ENの外形寸法は28×40×50mm、重量は約140gと、同社従来品「G9EA」に比べて外形寸法(体積)、重量ともに約50%削減した。この他、通電方向によって遮断特性が変わらない「無極性化」を実現したことも特徴である。定格通電電流(電流容量)は60A、接点電圧の最大値は400V、接点電流の最大値は60A。2012年10月1日に販売を開始する。

図 オムロンリレーアンドデバイスが2012年10月に発売する小型/軽量のDCパワーリレー 後方にあるのが同社従来品の「G9EA」、前方にあるのが今回発売する「G9EN」

独自の封止構造と磁気制御方式を開発

 従来に比べて大幅な小型/軽量化を実現できた理由は、同社独自の気密封止構造と磁気制御方式を新たに開発したことにある。

 大容量のパワーリレーには、直流回路を遮断したときに発生するアーク(突発的な大電流放電)を、素早く消すことが求められる(これを「消孤」と呼ぶ)。消孤できなければ、物理的には回路が遮断されているにも関わらず、電気的にはアークを介して回路が接続され続けることになるからだ。一般に、DCパワーリレーが小型になればなるほど、大容量の電流を遮断するのが難しくなる。

 ここで、素早く消孤するのに不可欠な要素技術が2つある。1つは、熱伝導率の高い加圧した不活性ガスを封止する気密設計。アーク発生時に加圧ガスによってアークを冷やすことで、消孤を促す。もう1つは、「磁気吹き消し」と呼ぶ手法である。永久磁石を置いた環境でアークを発生させることで、電磁誘導によって発生する力をうまく利用して、アークを引き伸ばして切る、という状態にもっていく。

 オムロンが新たに開発したDCパワーリレーでは、消孤性能を維持しつつ小型/軽量化できるよう、前述の通り、気密封止構造と永久磁石の配置ともに刷新した。まず、気密封止構造については、従来の「箱型セラミック」から「板状セラミック」と「金属ケース」を組み合わせる構造に変えた。一方の永久磁石の配置については、永久磁石と接点開閉部の配置やスペース、形状を新たに設計した。「消孤性能を維持しつつ、永久磁石を狭いスペースに入れ込む技術にノウハウがある」(同社)という。

今回採用した新技術の紹介スライド。左側が「独自の封止構造」の説明、右側が「永久磁石の配置改善」の説明。

 対象用途は、大容量電池を使うさまざまなシステムや機器である。例えば、電気自動車やハイブリッドカー、太陽光発電システム、燃料電池システム、充電池システムなどを用途に挙げた。2013年末には、電流容量を150Aに高めた品種や気中開閉タイプの品種を発売する予定である。

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