京セラクリスタルデバイスの温度補償型水晶発振器(TCXO)の新製品「KT1612」は、同社の従来品に比べて面積を40%削減した1.6mm×1.2mmのサイズを実現している。さらに、位相ノイズも7dBcほど改善した。
京セラクリスタルデバイスは2012年9月、1.6mm×1.2mm(1612サイズ)の温度補償型水晶発振器(TCXO)「KT1612」を発表した。これまで同社のTCXOは2.0mm×1.6mm(2016サイズ)が最小だったが、これに比べて面積を40%削減したことになる。また、2016サイズの従来品である「KT2016」に比べ、位相ノイズを7dBc(26MHz時、オフセット周波数は1kHz)低減した。京セラクリスタルデバイスによると、「26MHz時に−143dBc/Hz(オフセット周波数は1kHz)の位相ノイズを保証できる。1612サイズでこの位相ノイズは業界最高レベルだ」という。スマートフォンをはじめとする携帯端末の他、スマートメーターなどへの搭載も想定している。
京セラクリスタルデバイスによると、これまでTCXOでは低コスト化が要求されていた。だが、ここ数年のスマートフォンの急速な普及によって、低コスト化よりも小型化への要求が強くなったという。
TCXOは、温度補償回路などを搭載したICと水晶振動子を1パッケージに収めたものだ。KT1612は、ICに0.11μmのプロセスを導入することで小型化を実現するとともに、回路設計を最適化して位相ノイズを低く抑えた。従来の2016サイズ品では0.6μmまたは0.35μmを用いていた。
KT1612の発振周波数は16.369MHz、19.2MHz、26MHz、38.4MHz、52MHz。動作温度範囲は−30〜85℃で、同温度範囲における周波数温度特性は±0.5ppmである。電源電圧範囲は1.68〜3.45V。26MHz時の消費電流は最大1.5mA。
サンプル価格は1000円で、既にサンプル出荷を開始している。量産出荷は2013年に開始する予定だという。
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