ARMの「Cortex-A15 MPCore」の他、自社のDSPコア「TMS320C66x」や、セキュリティ処理回路、パケット処理回路、イーサネットスイッチ回路などを、「KeyStone」と呼ぶTI独自のアーキテクチャで統合して集積した。28nm世代の半導体プロセス技術で製造する。
日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は2012年11月、クラウドコンピューティングを実現する各種業務用機器に向けて、ARMのハイエンドコア「Cortex-A15 MPCore」ベースのマルチコアSoC(System on Chip)製品群を発表した。Cortex-A15 MPCoreの他、自社のDSPコア「TMS320C66x」や、セキュリティ処理回路、パケット処理回路、イーサネットスイッチ回路などを、「KeyStone」と呼ぶTI独自のアーキテクチャで統合して集積しており、「圧倒的な性能を大幅に低い消費電力で提供できる」(同社)と主張する。
大きく3つの用途を想定し、それぞれに向けて集積する回路ブロックの構成が異なる品種を2つずつ、合計6品種用意した。汎用サーバ向けではない、組み込み用途向けにCortex-A15を搭載したSoCは「これが業界初だ」(同社)という。
TIが想定する1つ目の用途は、クラウドコンピューティングの特定アプリケーションを実行する専用サーバ装置である。例えば、高性能コンピューティングやビデオ解析、ゲーム、仮想デスクトップなどのアプリケーションに対応する専用サーバを想定した。2個のCortex-A15コアと8個のC66xコアを内蔵した「66AK2H12」と、同2個、4個の「66AK2H06」の2品種をとりそろえた。動作周波数はCortex-A15が1.4GHz、C66xが1.2GHzである。
2つ目の用途は、ビデオサーバや電話会議システム、産業用マシンビジョンといった企業/産業向け機器である。4個のCortex-A15コアと1個のC66xコアを内蔵した「66AK2E05」と、それぞれ1個ずつを集積した「66AK2E02」の2品種を用意する。動作周波数は全コアともに1.4GHzである。
3つ目の用途は、ネットワーク制御装置や無線中継器、産業用センサーネットワークなどの高性能ネットワーキングだ。C66xコアは内蔵せず、4個のCortex-A15コアを搭載した「AM5K2E04」と、同2個を集積した「AM5K2E02」の2品種を供給する。動作周波数はいずれも1.4GHzである。
28nm世代の半導体プロセス技術で製造する。1000個購入時の単価は49米ドルからに設定する予定。既に一部品種のサンプル出荷を始めており、2013年1月にはさらに多くの品種についてサンプル出荷を開始する計画だ。同年3月には評価キットの供給も始める予定である。
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