ダイアログ・セミコンダクターの「SmartBond(DA14580)」は、消費電力を抑えることで、他社製品に比べて電池の使用時間を約2倍に延ばすことが可能な、Bluetooth Smart対応のSoC(System on Chip)である。同SoCを搭載したBluetooth Smart無線モジュールを、提携した村田製作所が開発して販売する予定だ。
ダイアログ・セミコンダクターは2013年5月21日、消費電力を抑えることで、他社製品に比べて電池の使用時間を約2倍に延ばすことが可能な、Bluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)対応のSoC(System on Chip)「SmartBond(DA14580)」を発表した。既に、限定顧客向けにチップのサンプル品と開発キットの供給を始めている。チップの量産開始は2013年10〜12月を予定している。スマートフォンやタブレット端末、腕時計、リストバンドなど、さまざまな用途に向ける。なお、村田製作所との提携に基づき、同SoCを搭載したBluetooth Smart無線モジュールを村田製作所が開発して販売する予定である。
SmartBondは、無線送受信部の消費電流が3.8mAと小さく、同社は「競合のICに比べて、消費電流は半分以下」と主張する。スリープモード時の消費電流は最大600nA、動作電圧は0.9〜3.3Vである。毎秒20バイトでデータ転送を行う機器を、225mAhのボタン電池で動作させた場合、使用できる期間は4年5カ月となり、従来チップの約2倍に延ばすことができるという。
パッケージの外形寸法が2.5×2.5×0.5mmで、競合製品に比べ基板への実装面積を半分以下としたWL-CSPを含め、5.0×5.0×0.9mmのQFN40、6.0×6.0×0.9mmのQFN48と、3タイプを用意した。
さらに、ARMのマイコンコア「Cortex-M0」やメモリ、DC-DCコンバータを含むパワーマネジメントブロックなど、主要な回路を1チップに集積したことも、実装面積や消費電力の低減に貢献している。SmartBondの周辺には、水晶デバイス、インダクタおよび3個のキャパシタと、合計5個の外付け部品を用いるだけで動作させることができる。
この他、正規のBluetooth Smartシングルモードスタック、PC向けCコードAPIライブラリ、サンプルアプリケーションのソースコードといったソフトウェア開発環境や、開発/評価キットおよびリアルタイムに電力消費量を測定できるプロファイリングツールなどを用意した。
ダイアログ・セミコンダクターは、低消費電力の回路設計技術を強みとして、パワーマネジメントICやオーディオICを開発、供給している。これまで培ってきた低消費電力の回路設計技術を新たな分野にも展開するため、同社としては初めてBluetooth用ICを開発した。
調査会社の予測によれば、Bluetooth Smart対応ICは、2016年末までに3億5000万個以上が出荷されるとの見通しである。ダイアログ・セミコンダクターのコネクティビティ、車載、産業ビジネスグループ担当副社長兼ジェネラルマネージャを務めるSean McGrath氏は、「スマートフォンやタブレット端末などでは、従来のBluetooth規格と、その進化版であるBluetooth Smart規格の両方に対応する製品が登場してきた。数年以内には、Bluetooth Smart規格に準拠した新しい機器の需要が拡大するだろう」と話している。
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