ルネサス エレクトロニクスは、スマートフォンやタブレット端末向けた光学式手振れ補正用ドライバICを発表した。「スマートフォンやタブレットPCのカメラ機能をデジタルスチルカメラ並みに高性能化できる」(同社)。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2013年7月11日、スマートフォンやタブレット端末に「一眼レフカメラ並みの高性能な手振れ補正を実現する」(同社)という光学式手振れ補正用ドライバICを発表した。1個1000円の価格でサンプル出荷を開始し、2014年1〜3月に月産1000万個規模で量産を開始する計画。同社では、スマートフォンなどモバイル機器向け光学式手振れ補正ドライバIC分野市場で「2015年にシェア50%を獲得することを計画している」としている。
新製品「RAA305170GBM」は、センサー回路とドライバ回路を3系統搭載した光学式手振れ補正用トライバIC。最大3個のアクチュエータをサーボ制御でき、光学式手振れ補正の3ボイスコイルモーター(VCM)サーボ制御や、より高速なオートフォーカス(以下、AF)制御を実現するクローズドループ制御に対応する。ルネサスによると、3VCMに対応したスマートフォン、タブレット端末向けICは「世界初」としている。
CPU(RL78コア)で手振れ量を検知し、DSPで手振れ補正用レンズ駆動する分散処理を行うため、低クロック動作による低消費電力動作とサーボ制御用DSPによる高性能な手振れ補正が実現できる。DSPを内蔵したことで、アクチュエータ動作時の音響ノイズや、ジャイロセンサーの熱による出力ドリフトに対して、デジタルフィルタを用いた調整を行うことも可能になった。さまざまなアクチュエータに対応し、モジュールチルト/レンズチルト/レンズシフトといった各種手振れ補正方式を導入できる。
同ICはフラッシュメモリを備え、外部からファームウェアを読み込む必要がない。そのため、CPUを高速に起動できるようになる。ルネサスによれば、フラッシュメモリ非搭載ドライバICの場合に電源投入後40ms要したCPU起動時間がフラッシュメモリ内蔵の新製品では0.7msに短縮されるという。「不意のシャッターチャンスも逃すことなく撮影が可能になる」(同社)。加えて、制御用ファームウェアなどをフラッシュメモリに格納することで、セット仕様の変更、制御パラメータの変更に柔軟に対応でき、量産後のファームウェアの変更も行えるという利点もある。その他、「モデルごとのアクチュエータのトリミング値などもフラッシュメモリに格納でき、効率的なデータへのアクセスも可能になる」(ルネサス)。
ルネサスは、「新製品を搭載することにより、スマートフォンやタブレットPCのカメラ機能をデジタルスチルカメラ並みに高性能化できるため、シャッターチャンスを逃さず高画質な動画・静止画を撮影し、その画像をすぐにWeb上にアップするといった一般消費者のニーズに応えることが可能となる」としている。
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