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プリント基板設計ガイド高品質を目指すエンジニアのための(2/3 ページ)

» 2013年10月07日 10時00分 公開
[ニコラス・W・スミス,Integrated Device Technology(IDT)]

部品表(BOM)

 回路図の作成と同時に部品表(BOM)を作成します。この回路図は、各ノードの最大動作電圧・電流を分析するとともに耐性基準を検討し、回路の部品を選択します。満足のいく部品を選択したら、入手性、予算、サイズの面から各部品を再検討します。

 BOMは回路図とともに常に最新の情報に更新しなければなりません。BOMには、(1)各部品の員数(2)参照名(3)スペック値(抵抗値、容量などの数値)(4)メーカーの部品番号(5)PCB上のフットプリントを記載しなければなりません。

 これら5つの情報は非常に重要です。なぜなら、この情報により、各部品が何個必要か、回路のどこに何を配置するかを把握すると同時に、購入や部品交換に備えて使用する回路の各要素を正確に記述し、さらに必要な面積のために各部品のサイズを示しているからです。これ以外の説明を加えることもできますが、回路の各要素を記述する簡潔なリストにするべきであり、情報が多すぎるとライブラリの作成と管理が複雑になります。

PCBのドキュメンテーション

 PCBのドキュメントは、ハードウェアの寸法図面、回路図、BOM、レイアウトファイル、部品配置ファイル、組立図と組み立て方、ガーバーファイルセットを含みます。ユーザーガイドも役立ちますが必須ではありません。ガーバーファイルセットとは、PCBメーカーがPCBを作成するために使用するレイアウトの出力ファイルを指すPCB業界の用語です。ガーバーファイルセットには、基板レイアウトファイルから作成した以下のような出力ファイルが含まれます。

•シルクスクリーン

•ソルダーレジスト

•すべてのメタル層

•ペーストマスク

•部品マップ(XY座標)

•組立図

•ドリルファイル

•ドリルの説明

•FABアウトライン(寸法、特徴)

•ネットリストファイル

 FABアウトラインに記載する特徴には、ノッチ(notch)、カットアウト(cutout)、べベル(bevel)、ビアインパッド(back-filled vias-in-pad/BGAタイプのICパッケージで使用)、ブラインド/ベリードビア、表面の仕上げとレベリング、穴公差、層の数などが含まれますが、これらに限られません1)

回路図の詳細

 回路図は非常に重要です。そのため、回路図を作成する際は、正確さと完全性が必要です。回路図には回路が適切に動作するために必要な情報を記載し、ピンの番号、ピンの名称、部品のスペック値、定格など、設計に必要十分な詳細情報も記載すべきです(図2)。

【図2】重要な詳細情報を記載した回路図例:無線給電用レシーバIC「IDTP9021R」を使用した無線給電受電回路のバックレギュレータブロック部分。このように、適切な回路図には、ピンの番号、ピンの名称、部品のスペック値、定格、その他の重要な詳細情報を記載する (クリックで拡大)

 回線図に記載されているメーカーの部品番号は、価格と仕様を判断するために使います。パッケージの仕様で各部品のフットプリントの大きさが決まります。はじめに、利用できる面積とはんだ付け方法にもよりますが、各ピンの銅パッドが適切な位置にあり、部品のピンよりもやや大きいか(3〜20ミル注1))を確認することです。

注1)1ミル=25.4μm

 フットプリントを設計する際は組み立てを考慮し、メーカーが推奨するPCBフットプリントに従いましょう。一部の部品は極小のパッケージで、銅パッドを十分確保できる余地がありません。このような場合でも、基板上の各ピンの間に2.5〜3ミルのソルダーレジストを縞状に施します。

 ビア回りの設計は、“10のルール”に従います。小さなビアは大きさ10ミルの穴があり、さらに10ミル大きいパッドリングが付いています。トレースは基板の端から10ミル以上離します。トレース同士の間隔は10ミル( エアギャップ5ミル、トレース幅5ミル、銅1オンス注2))です。直径40ミル以上の穴を持つビアには信頼性確保のためパッドリングを付けます。外層の銅プレーンには、プレーンからピンまで、設計ルールに加えて15〜25ミルのクリアランスを設けます。これにより、はんだブリッジのリスクが減ります。

注2)1オンス=28.35g

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