TDKは2015年5月、樹脂電極を用いた積層セラミックコンデンサの新製品を発表した。X8R特性に対応し、使用温度は150℃を保証している。樹脂電極を用いていることから熱衝撃に強く、エンジンルームなど高温になる場所での使用に適している。
TDKは2015年5月26日、樹脂電極を用いた積層セラミックコンデンサ(以下、樹脂電極品)に、X8R特性に対応した新製品を追加したと発表した。X8Rとは、具体的には「−55〜150℃の使用温度範囲において静電容量の変化率が±15%」という特性である。車載向け積層セラミックコンデンサではX7R(温度範囲が−55〜125℃)特性が多い中、X8R特性を実現しているのが、最大の特長となっている。
静電容量の異なる5品種をそろえていて、同年6月より量産を開始する。サンプル価格は品種ごとに異なるので、要問い合わせ。
シリーズ | 外形寸法(長さ×幅)(mm) | 定格電圧(V) | 静電容量(F) |
---|---|---|---|
CGA2 | 1.0×0.5 | 16〜100 | 150pF〜47nF |
CGA3 | 1.6×0.8 | 16〜100 | 1nF〜470nF |
CGA4 | 2.0×1.25 | 16〜100 | 22nF〜1uF |
CGA5 | 3.2×1.6 | 16〜100 | 100nF〜4.7uF |
CGA6 | 3.2×2.5 | 16〜100 | 470nF〜10uF |
各品種と主な特性 |
TDKは従来、樹脂電極品を販売してきた。樹脂電極品では、端子電極において、Ni(ニッケル)とCu(銅)の間に誘電性樹脂層を設けているのが特徴だ。これが緩衝材のような役割を果たすので、はんだ接合部におけるクラックや振動、衝撃などに強くなる。
特に熱衝撃に耐性があり、TDKによると、3000サイクルの熱衝撃(−55〜125℃/3000サイクル)を与えた場合、通常の積層セラミックコンデンサの固着強度が約90%低下するのに対し、樹脂電極品では約50%の低下にとどまる。そのため、自動車のエンジンルームなど、高温になる場所にも適しているという。
TDKはこれまで、樹脂電極品は特にシリーズ化せず、顧客の要望に応じて個別対応してきた。だが、近年の自動車において、ハーネスを減らして燃費向上を図る目的で、エンジンルームなどの機構部品の近くに電子制御ユニット(ECU)が置かれるようになっていることから、熱衝撃に強い樹脂電極品に一定のニーズがあることを見込んでシリーズ化したという。
ただ、樹脂電極品には、通常の積層セラミックコンデンサに比べてややコストが高くなるというデメリットがある。それでも、車載向けとして展開する場合、X8R特性を持っているということが大きな利点になるとTDKは述べている。車載以外では、平滑回路やデカップリングといった用途を想定している。
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