規格の学習と合わせて検討すべきもう1つの要素として、既存規格の失効時期と新規格導入のタイミングの問題があります。図1に移行までのタイムテーブルを示します。
従来のAV規格:IEC 60065および、ITE規格:IEC 60950-1は2019年6月20日以降、新規製品に適用できなくなり、IEC 62368-1に適合することが求められます。この期限をDOW(Date of Withdrawal)といい、この日を境に、同じ製品カテゴリーに対し、新旧両規格を選択して使用できる期間が終了するとともに、旧規格が失効します。また、IEC 62368-1への対応は2019年6月までの約3年半の間(2015年末現在から起算)に行えばよいと思われそうですが、もう1つ考慮に入れなければならないことがあります。それはIEC 60065、IEC 60950-1それぞれの改訂への対応です。
現在IEC 60065の最新版は第8版であり、第7版から第8版への移行時期にあります。第7版の使用が終了するDOWが2017年11月17日となっていますので、この日までに、現在第7版を使用されている製造者は、第8版に切り替える必要があります。同様にIEC 60950-1の最新版は第2版Amendment 2で、Amendment 1までを含むバージョンを使用している場合、Amendment 2への移行期限(DOW:2016年7月2日)までに、Amendment 1から最新版のAmendment 2へ移行することが必要になります。
さらに、IEC 62368-1が強制発効する2019年6月20日をもって、IEC 60065および、IEC 60950-1はともにDOWを迎え、使用が終了しますので、現在IEC 60065第7版、またはIEC 60950-1第2版Amendment 1を使用している製造者は、段階を踏んでそれぞれの最新版へ移行した後、さらにIEC 62368-1へ移行するか、直接IEC 62368-1へ移行するか、選択しなければなりません。それぞれのケースによる規格移行シナリオのイメージを図2、図3に示します。
上記のように現規格の改訂の段階を踏むかどうかの判断に加え、最終的にIEC 62368-1へ移行する準備も進めなければなりません。2019年の期限いっぱいまで従来規格を使用する場合は、その前に現行規格の最新版へ対応しなければなりません(シナリオ#1)。また、現行規格の最新版への対応を省略し62368-1へ直接移行する場合は、現行規格最新版のDOWまでに62368-1への移行を済ませなければならないことになります(シナリオ#2)。
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