安全規格には過負荷試験の実施方法が規定されており、例えばJ60950においては次のように定義されています。
つまり、スイッチング電源の出力コネクターからではなく、「取り出せる端子」から取り出すと規定されています。
この文章をより厳格に解釈すると、「端子」には部品のリードが含まれ、試験自体も機器内の部品が異常になることを模擬しているので「単なる過負荷試験ではない」とされます。
(この解釈は試験所間でバラツキがあり、多くの場合過負荷試験には出力端子が用いられますが、最悪この解釈をされても文句は付けられません)
したがって保護素子はこのようなことを考慮して図6のように接続しなければなりません。試験の方法も温度が安定する度に負荷を増加するステップストレス法が採られます。
サーミスタについては今回で終わり、次回からは「抵抗器」について説明します。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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